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HD DVDは“real and ready”だCEATEC JAPAN 2005:(2/2 ページ)

» 2005年10月05日 22時34分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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・ハイブリッドディスク

 HD DVD/DVDを1枚のメディアに混在させたハイブリッドディスクが存在する。このディスクによってユーザーをDVDからHD DVDへ緩やかな移行に移行させることができる。

・使い勝手の良い著作権管理機能

 MMC(Mandatory managed copy)によるコピー制御をすべてのHD DVDメディアが備えており、ホームサーバなどでの利用に対応できる。

・メディアが安価

 既存のDVD製造ラインが利用可能であり、低コストでメディアが製造可能である。

・大容量

 立ち上げ時の容量はBlu-ray Discは25Gバイト、HD DVDは30Gバイトであり、HD DVDのほうが大容量である。Blu-ray Discは50Gバイトの計画もあるが、登場にはまだ時間がかかる。

・プレーヤー価格を低く抑えることができる

 米国で販売されているDVDプレーヤーの75%は中国製であり、いくつかの大きな中国OEMベンダーがHD DVDの支持を打ち出しており、2006年にはHD DVDプレーヤーが出荷される見込みだ。プレーヤーの価格を押さえられることは、ユーザーがHD DVDを選択する大きなポイントなる。

・iHDによって安価にインタラクティブ性を確保できる

 iHDはオープンスタンダードなテクノロジーで構成されており、インターネットとの連携やピクチャー イン ピクチャー(P in P)を容易に実現できる。パテント料金についても個別の製造業者が特別な負担を強いられない仕組みが提供できる。

photo 米MicrosoftのPatrick Griffis氏

 これらのポイントはすでに同社が主張しているとおりだが、メディアメーカー 日立マクセルの田村礼仁氏(ディスク製造事業グループ アドバンスドディスク事業部 設計部 副技師長)も「既存のDVD製造工程をHD DVDの製造工程に転用できることは、メディアメーカーにとって大きなメリットになる」と賛同の意を表明する。

地デジには負けられない――東芝エンタテインメント

 映画など映像ソフトの制作、配給からDVDパッケージソフトの販売まで手がける東芝エンタテインメントの加藤鉄也氏(代表取締役社長)は「いかに技術的に優れたメディアだろうと、それだけでは手を出さないものだ」と述べながらも、「HD DVDには大きな期待を寄せている」という。

photo 東芝エンタテインメントが手がける映像作品。多くの作品の劇場公開や制作に携わっている
photo 東芝エンタテインメントの加藤鉄也氏

 2011年のアナログ停波を控え、放送のデジタル化が進んでいる。そのデジタル放送ではHDクオリティの映像が無料で視聴可能になる。「無料で見られる放送がHD化するならば、(お金を出してもらう)パッケージソフトは少なくとも同等のクオリティを持たなくてはならない。パッケージソフトの市場を構成するため、高画質化は欠かせないポイントになる」。

 加藤氏は海賊版対策/パッケージソフトの活性化商材としてもHD DVDに期待を寄せる。「海賊版対策はイタチごっこになるものなのかもしれないが、新しいコンテンツプロテクションは必要だ。それに、国内のDVDパッケージ市場は飽和に近い状態になっている。DVDはすでに普及しきったメディアであり、市場を刺激するには新しいメディアプラットフォームが必要ではないか」。

photo DVDパッケージソフトの市場は徐々に勢いを失いつつあり、2004年から2005年にかけては、月別対前年比が前年割れしている状態が続いている

 「ハイビジョン対応」「新しい著作権保護技術による海賊版対策」「パッケージソフトの活性化が行える新メディア」という3要素だけならば、Blu-ray Discでも条件を満たすことができるようにも見える。しかし、加藤氏は講演の最後に「HD DVD is REAL!」とスライドを出し、パッケージソフトベンダーという立場からは、ROM規格を取り巻く環境が充実しているHD DVDの方にアドバンテージがあるという考えを示した。

photo HD DVD is REAL!
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