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勝手に始める撮影術「波と水平線とイルカの関係」勝手に連載!海で使うIT(3/6 ページ)

» 2005年10月08日 01時10分 公開
[長浜和也,ITmedia]

海では太陽を味方につけるべし

 海の撮影では太陽をうまく利用すべしっ、とは本家撮影術で荻窪氏も指南している基本技。海の青を大事にしたいならば太陽を背にしなければならないし、「きらめく海」を表現したいならば太陽の方向にカメラを向けるようになる。

 海に浮かぶ島をくっきり撮りたければ日の出直後がベスト。太陽が昇ってからでは島はもやの中に黒くぼんやりと見えるだけ(とくに春と夏は)だ。昼間にどうしても島を撮影したいなら、そのぼんやりとした雰囲気をうまく利用できるシチュエーションを考えよう。

昇った太陽を背に漁船を撮影。漁船の動きと自船の周囲の見張りを厳にして、漁船と海に反射する光が重なるタイミングでシャッターを押すとこうなる

雲のない晴れた日に太陽を背にすると海は青くなり太陽を向くと海は黒くなる。日の出日没や冬のように太陽高度が低いと海面の反射が「道」のよう輝く。そこに舳先をあわせるとこんな感じになる

関東限定沿海の南限である「御蔵島」が前方に見えてきた。「かなたにある遠い島」という雰囲気を出すならば、このようにうっすらと浮かび上がる構図もいい

ヨットを撮るときはヒールしている舷から狙うと乗員や甲板が撮影できて構図的に面白い。この作例でも太陽を利用して人影をセールに映しだしてみた

 海を撮影するときによく言われるのが「水平線を水平に」だ。どんな写真でも傾いていたらマヌケ、とは門外不出のITmedia撮影諸法度にも記されている基本、だそうだ(すいません、いつも傾いていて)。ただし、撮った本人に限っていえば、そのときの航海を思い出だすための写真でもある。

 水平線の傾きはPhotoshopなどで修正可能だが、あのときは強風で思いっきりヒールして帆走したんだよなー、という航海では、ぐぐっ、と傾いた水平線が脳裏には焼きついているはず。ならば、傾いた水平線のまま残しておくのもOKではないか、と思う(他人に見せる見せないは別として)。

冬の夕暮れを強風をついて帆走する。灰色の雲と黒い海、遠い夕焼けと傾いた水平線があのときの心細さを思い出させてくれる

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