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実はiPodよりiTunes6.0がすごい荻窪圭(1/2 ページ)

» 2005年10月13日 23時09分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 本日、新しいiPodが登場した。

photo ビデオで流された発表会の様子。iPodの機能を並べて解説するジョブズ

 iPodがほかのどのプレイヤーより優位に立てたのは、つまるところ、他社のプレイヤーが「パソコン好きが音楽を聴くための製品」だったのに対し、iPodは終始「パソコン好きだろうとそうじゃなかろうと、音楽を聴く人みんなが楽しめる製品」を作ってきたからなのだ。わたしはそう思っている。

 今回のiPodもそう。「動画対応」が一番の話題だけれども、カラー液晶を備えたプレーヤーに動画再生機能を付けるのは技術的に難しいことじゃないし、すでに実現している製品もある。

 でも「動画対応したので、あとはみなさんが自分でコンテンツを用意して再生できるフォーマットでエンコードしてコピーして楽しんでね」では、パソコン好きの一部の人しか使いこなせない。それじゃあダメなのだ。動画対応をするなら再生できるコンテンツも用意して、誰もがそれを楽しめるようじゃなきゃいけない。

 アップルコンピュータが面白いのは、それをちゃんとやってくるからなのだ。今回は極めて順当に、ミュージックビデオクリップのダウンロード販売とそれを再生する機能を付けた。これはいい選択だ。

 ビデオクリップなら1本あたり数分なので電車の中のちょっとした時間でも観られるし、QVGAの解像度でも楽しめるし、ジャンル的にもiTunesの守備範囲内。

 もちろん、ビデオポッドキャストにも対応しているし、自分でiPod対応にエンコードしたビデオ(QuickTime Proを使えばiPod用エンコードができる)も再生できる。けれども、ちゃんとiPod向けのコンテンツを用意した上で登場したことが一番重要なのだ。

 発表会でも、iPodの機能として「Podcasts」「Home Movies」「Music Videos」と具体的に挙げてた。単に動画再生できます、じゃなくて、この3つのビデオを楽しめますって表現になっている。これが面白い。

 でもそれだけじゃ弱いよね、というわけで、ディズニー傘下の米三大テレビネットワークのひとつABCの人気テレビドラマをダウンロードできるようにした。それも放送の翌日にダウンロード可能になる。

 日本人には直接の関係はないけれども、テレビ番組をダウンロードというのはすごい。テレビ局はコンテンツの提供を普通はしたがらないし、ましてやストリーミングではなく「ダウンロード」なのだ。これが人気を博すればまた新しい展開が期待できる。

 そういう意味では、今回はiPodよりiTunes 6とiTMSのビデオダウンロード対応が重要な発表だったといっていい。

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