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ウォークマンの未来(後編)インタビュー(3/3 ページ)

» 2005年10月24日 01時04分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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――HDDタイプのプレーヤーとしてはNE-HDxシリーズがありましたが、NW-A3xxx/1xxxは外観からガラリと変わりました。賛否両論があったのではないでしょうか。

長島氏:ポータブルプレーヤーは白物家電と違って趣味趣向が反映されるものですから、確かに外観デザインを含めて数多くの議論がありました。ただ、「コネクト」という新しいパラダイムシフトを表現するため、いわゆる家電的――機能性・合理性を重視するデザインから離れることも必要ではないかと考えたのです。パッケージも含めて、「おもてなし感」というか特別な感覚を作り出したかったのです。

 家電製品のパッケージはほぼ間違いなく捨てられてしまいますが、例えばエルメスのプレゼントをもらった時には、パッケージをとっておきたいという感覚がありますよね。新製品のデザインはそうした“特別なもの”という存在感を目指して、家電から離れた発想から生まれたものです。

photo 「良くも悪くもソニーらしくないといわれます(笑)」と長島氏がいうNW-A3000(左)とNW-A1000。NW-A1000にはカラーもバイオレット、シルバー、ブルー、ピンクの4色が用意される。

――価格ですが、Aシリーズの市場想定価格はNW-A3000(20Gバイト)が3万5000円前後、NW-A1000(6Gバイト)が3万円前後、フラッシュメモリタイプのNW-A6xxが2万2000円前後〜3万2000円前後で、iPodに比べると高価です。価格面での不利は感じますか?(iPodはiPod nanoは2Gバイト 2万1800円/4Gバイト 2万7800円、第5世代iPodは30Gバイト 3万4800円/60Gバイト 4万6800円)

長島氏:価格はオープンなので最終的には店舗さんが決めることですが、その時々の状況に応じて柔軟に検討していかなくてはいけないと思います。確かに価格競争は厳しいですが……。

 ただ、インテリジェントな機能や曲線を多用したデザインなど、iPodを含めた他社製品とはまったく違うアプローチをとっているので、そうしたバリューをユーザーの方に理解してもらいたいと考えています。市場全体の価格トレンドを考慮しつつ、バリューとプライスのバランスを考えて提供していきたいですね。

「クリエーターの気持ちをユーザーへ届けるデバイスがウォークマンだ」

――アップルは第5世代iPodの登場に際しても、iTunesやiTunes Music Storeとの連携を強調して「iPodはミュージックプレーヤーだ」と主張しています。ソニーとしては、コンテンツやサービスを含めた価値をどのような形で、「ウォークマン」に乗せて提供していこうとお考えでしょうか?

長島氏:ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)やソニー・ピクチャーズなど、コンテンツ部分との連携は非常に大切だと認識しています。しかし、ソニー系のコンテンツしか再生できないウォークマンを作っても意味がないですから(笑)、どのように連携していくかは大きなテーマですね。

 コネクトカンパニーができてからは、SMEの現場スタッフとも多く会うことができ、作り手がどのような気持ちで作品を作っているか、その気持ちを確認できていると思っています。クリエーターの気持ちをユーザーへ鮮度よく伝えることができるウォークマンなり、ウォークマンを使った仕組みなりを作り上げていかないといけないと思っています。

 過去に「ビデオウォークマン」という例外がありましたが、「ウォークマン」は今後も音楽を楽しむためのポータブルデバイスとしていきたいと思っています。

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