しかも、このUIには見覚えがある。過去記事を検索してみると、昨年レビューしたカノープスやエバーグリーンのメディアプレーヤーと同じものだった。これらの製品に共通するのは、台湾Media Tekのデコードチップを搭載していること。ポータブルDVDプレーヤーでMP3やJPEGを再生するため、同社製チップとソフトウェアを採用したと思われる。
異なるメーカーの製品でUIが同じだと不思議に思う人もいるかもしれないが、実際はよくあること。事実、さらに調べてみるとポータブルDVDプレーヤーの中でも、某シャア専用DVDプレーヤーやエバグリ「EG-D700」が同じUIだった。
となれば……ものは試し。エバグリ「EG-D700」で再生できたMPEG1/2(いわゆる生ペグ)や、メディアプレーヤーなら再生できるDivX/Xvidファイルを書き込んだDVD-R(ISO9660)を入れてみた。すると……両機とも見事に再生できてしまった。
フォーマットやディスクの書き込み状況に左右されるが、基本的に“早送り”“早戻し”は、2/4/8/16/32倍速まで対応。可変速再生が始まるまでの待ち時間がほとんどないトリックプレイも前述のメディアプレーヤーと同じだ。DivX対応を謳ったポータブルDVDプレーヤーは、BLUEDOTや東芝の製品など、いくつか存在するものの、防水タイプでは初だ。メディアプレーヤーがオマケに付いてきたようで“お得感”がある。
もちろん、生ペグやDivXファイルの再生など、カシオもツインバードも正式にサポートしていない。サポートの労力を考えればそれも理解できるし、仮に当時のデコードチップだとしたら、最新のコーデックには対応していないはず。そのあたりの事情もあって、カタログには記載していないのだろう。そんな大人の事情を察したうえ、使用はあくまでも自己責任でお願いしたい。
実売価格を「ITmedia Shopping」で比べてみると、カシオ「DV-900W」は5万円前後。一回り小さい7V型の「DV-700W」は4万円台前半になっている。ツインバードの「VD-J711W」は4万円を切るレベルで、テレビチューナーを搭載していない点を考慮すると機能相応の価格差といえる。
実売価格を踏まえてユーザー層を想像してみると、たとえばお風呂以外の場所でも使いたい、テレビもみたいといった“欲張り派”にはカシオ製品がいいだろう。AV入出力も豊富で、外観もツインバード製品に比べるとAV機器的なスマートさを持っている。ただ全体的に精密機器という印象が強く、お風呂場などで使う際は、どこか気を遣ってしまう部分があるのも事実だ。
一方、“半身浴”など浴室のライフスタイルにDVDビデオやMP3音楽再生を取り入れたい人には、ツインバード製品がいい。大きなハンドルやワンタッチの充電アダプタなど、毎日のちょっとした手間を省き、安心感をもって扱うための工夫が随所に見られる。問題は、あと数千円だすとTVチューナー付きのカシオ「DV-700W」が購入できることか。コストパフォーマンス面では、ちょっと不利かもしれない(どれも安いと思うが……)。
いずれにしても、防水機能のおかげで、お風呂や屋外を含めて“使う場所を選ばない”ポータブルDVDプレーヤーができあがった。クラムシェル型ポータブルDVDプレーヤーのように液晶画面を畳んで持ち運ぶことはできないが、それさえ気にならないのなら、長風呂をしない人でも選択肢の1つにくわえる価値がある。
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