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「エウレカセブン」でわかった番宣の新しいカタチ――東芝インタビュー(2/2 ページ)

» 2005年11月22日 15時00分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 中村氏によると、トライアルの結果から3つのことが分かったという。1つは番組の宣伝効果の高さ。情報を配信したユーザーのうち、情報ページを開いたユーザーは58.1%。録画予約に至ったユーザーは、告知前に比べて4割増加したという。さらには告知終了1週間後でも半分以上が継続して予約を行っており、「一定のユーザーが“固定ファン化”したことがわかる」。

photo 情報ページを開いたユーザーは58.1%
photo 録画予約を行ったユーザーは、告知前と比較して4割増加した

 逆に、告知を見ても録画予約に至らなかった人たちの録画履歴をみると、2つのタイプに分かれることがわかった。

 1つは、もともとエウレカセブンを見ていたユーザー層。「録画予約履歴の4割から5割をアニメ・特撮が占めており、その人たちにとって(告知は)目新しい情報ではなかったと推測できる」。

 一方、それ以外の人たちの予約履歴は、ドラマやバラエティの比率が高かった。「過去1週間にアニメを録画したといっても、中には家族のために“サザエさん”を録画するといったケースもあるだろう。もともとアニメにはあまり関心のなかった層だと考えられる」。さらに、継続して録画予約を行った“新規ファン層”は、録画履歴の中でニュースや情報ワイドショーが多い。「情報にセンシティブな人たちと予想できる」という。

photo 告知を見たときの行動と録画予約履歴の関係。以前から予約していた人は「固定ファン」、告知後に予約した人は「新規ファン」、録画予約に至らなかった人を「潜在ファン層」に分類している

 「どうでもいいコマーシャルは飛ばすが、興味のある情報は見るのが普通だ。問題は、好みに合う情報と消費者との接点をどのようにして作るか? という点だが、そうした意味で“おすすめサービス”は応用範囲が広いと考えている。また、エウレカセブンは(休日の早朝に放送しているため)視聴率では良い数字が出にくい。コンテンツを製作している側からみれば、視聴率とは違う評価の指標になるのではないか」(片岡氏)。

 以前からRDシリーズのユーザーはアニメファン層が多いといわれ、「ある意味、特殊な母集団かもしれない」が、「おすすめサービス」は従来の広告媒体と比べて高い効果が見込めることがわかったという。なお、トライアルの母数(おすすめサービスユーザー)などは特定機種の出荷数に相当するため、公開していない。「少なくともテレビの視聴率調査などより桁が多い」としている。

 中村氏によると、将来的には任意でユーザーの消費行動を調査したり、さらに絞り込んだユーザー層を対象にした追加調査なども可能になるという。同時に発表した「おすすめサービス」の機能強化と合わせ、ユーザーの利便性アップと同時に、マーケティング的にも有益なプラットフォームにしたいと話している。

 「まだアイデアベースだが、たとえばテレビ情報誌やアニメ誌と提携して“おすすめ番組”を紹介してもらう。あるいは年末の特番やスポーツイベントと連携するなど、さまざまな応用を検討していく。情報がテレビ視聴の行動に結びつく可能性を示したい」(中村氏)。

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