ITmedia NEWS >

いつでもポケットに写真の楽しみを――リコー「GR DIGITAL」レビュー(3/5 ページ)

» 2005年11月28日 03時05分 公開
[小山安博,ITmedia]

素直で切れのよい描写

 GR DIGITALは有効画素数813万画素の1/1.8インチ原色CCDを搭載する。最近のハイエンドコンパクトで多く利用されているCCDで、極小ピッチのためにノイズの多さやダイナミックレンジの狭さが問題視されることもあるが、ノイズは画像処理でカバーできる面はあるし、解像感は高く、できあがった画像はA3でのプリントにも耐えられる。

photo GR1の写りの良さから、後にレンズ単体でも発売された「GR LENS」の名を冠した新開発のレンズを搭載

 GR DIGITALの場合、ノイズ量もそれなりに抑えられているようで、シーンによってはISO400でも許容範囲、ISO800やISO1600は非常時用と感じた。ただ、ISO800/1600という高感度域が選択できるのはいざというときの安心感につながる。

 本体上部の電源ボタンを押すとレンズがせり出し、実測では2秒弱で起動する。特に不満のない速度だ。一定の距離がある被写体であればAF速度も申し分なく、快適な撮影が可能だ。

 マクロ撮影時のAF速度が多少気になるところで、レンズの動きも大きく、動作音も目立つので、静かな場所でのマクロ撮影でちょっと迷うところ。ただ、遅いといっても許容範囲内だし、比較的精度はいいので大きな問題ではなかった。リコーが得意な1センチマクロとまではいかないが、レンズ前1.5センチまで近寄れるのはいい。また、マクロ撮影時は、ADJ.ボタンからAFターゲットの移動が選択でき、三脚利用時のマクロ撮影で効果的だ。

 レンズは35ミリ判換算時28ミリの焦点距離となる単焦点レンズ「GR LENS」を搭載する。リコーが公表しているMFT曲線を見る限り、画像周辺でも解像度は高いようで、実際に細部までよく解像し、比較的シャープに写る。GR DIGITAL発表会で提示された資料を見ても、ディストーション、周辺光量、球面収差のいずれも良好な結果を示しており、リコーのレンズへの注力がよく分かる。

 レンズは特殊低分散レンズ1枚、ガラスモールド非球面レンズ2枚を含む5群6枚構成で、マルチコーティングを施している。絞り羽根は7枚であり、新開発のレンズだが、「GR LENS」の名を冠するだけあってレンズスペックに妥協はなさそうだ。また、収納時にレンズの一部が鏡胴外へ逃げる「リトラクティングレンズシステム」を採用している。

 画像処理システムには「GR ENGINE」を採用。基本的に派手さはないが、素直で正確な色再現をするようで、パッと見にはインパクトはないが、後段の画像処理で扱いやすそう。これで満足できない場合は、コントラスト/シャープネス/色の濃さを、それぞれ5段階から設定できる。

光学ファインダー非搭載は本体サイズ優先の結果

 GR DIGITALには、光学ファインダーが搭載されていない。最近のコンパクトデジカメではそういったモデルも多く、2.5インチという大型液晶を搭載しながらコンパクトサイズを実現しようとすると、おのずと光学ファインダーの入る余地がなくなってしまう。

 たとえばキヤノンなどはそれでも積極的に光学ファインダーを搭載しており、GR DIGITALと同じ28ミリレンズ、2.5インチ液晶を搭載しながら光学ファインダーを備えている。ただ、当然のようにその分サイズは大きくなっており、光学ファインダーと液晶の大きさ、そして本体サイズのどれを優先すべきかは難しい判断だろう。

 GR DIGITALは光学ファインダーを排除したが、別途外付けの外部ファインダー「GV-1」を用意。レンズ光軸上のほぼ真上にあるホットシューに取り付けるタイプの外部ファインダーで、35ミリ判換算で28ミリと21ミリのフレームが記されている。

 リコー自身は、「GR」に搭載する光学ファインダーは一定の精度が必要で、GR DIGITALのサイズには納められなかった、としており、確かにGV-1は見え方もクリアで精度はいい。スローシャッター時で手ブレが心配なときは、液晶モニターよりも光学ファインダーでの撮影の方が有利なので、そうした際にも便利だろう。ただ定価で2万3100円は少々値が張る。本体に付属すればなおうれしかった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.