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誰にでもお勧めできるフォーサーズの決定版――オリンパス「E-500」レビュー(4/5 ページ)

» 2005年11月30日 23時35分 公開
[小山安博,ITmedia]

 興味深いのが「ライトボックス表示」だ。これは、ワンプッシュホワイトバランスボタンを押して拡大枠を表示させ、その状態でAF選択ボタンを押すと画面が2分割され、左側にそれまで表示させていた画像の拡大表示、右側にその次のコマが同じように拡大状態で表示される機能。特にブラケティング撮影をした場合に、ピントや露出、ホワイトバランスを正確に確認したい場合に有効だろう。

photo 2画面でピントなどをチェックできるライトボックス表示

 一部のデジカメでは、拡大表示をした状態でその拡大倍率を保ったまま前後のコマに移動して、次々とピントやブレのチェックを行うことができるが、E-500は対応していない。ただ、ライトボックス表示を使えばある程度代用がききそうだ。

 また、1コマ表示中にOKボタンを押すと画像が選択されるので、そのまま複数画像を選択、独立した消去ボタンを押すと選択した画像を一気に削除できるので、画像を確認しながら選別したい場合に便利だ。

ダブルスロットを採用、完成度が高まった

 記録メディアは従来通りのCFカード対応に加え、xDピクチャーカードスロットも備え、ダブルスロットとなった。xDピクチャーカード自体は書き込み速度の遅さや現時点で1Gバイトまでしか容量がないことが不満点だが、コンパクトデジカメでxDピクチャーカードを利用していたユーザーにとってはカードがムダにならないだろう。特にコンパクトデジカメからの移行を狙うエントリー向けでは重要なファクターといえる。

 普段はCFカードを使うことをオススメするが、CFからxDへのコピー機能を備えているので、CFがいっぱいになったときに備える意味でもダブルスロットは有効だ。ちなみにオリンパスは11月25日にxDピクチャーカードの高速タイプ「Type Hシリーズ」を発表しているが、今回は試していないので、Type HシリーズがCFの代替になるかどうかは確認できていない。

photo CFとxDのダブルスロット。書き込み速度を考えると、xDはバックアップ用だろう

 電源はリチウムイオン電池で、撮影可能コマ数はCIPA規格で約400枚と不満のないレベルを確保。液晶モニターを情報表示に使う、起動時にダストリダクションシステムが作動するという、電池寿命に対しては不利な点がそろっているが、一般的な使用では問題ないだろう。

 E-500は、オリンパスのデジタル一眼レフの1つの完成形といえるだろう。すべての機能をそつなくまとめ、初心者から上級者まで十分に満足できる性能を備えた。もちろん、連写速度やAF、防塵防滴ボディ、耐久性、信頼性など、プロユースでは難しい場合もあるだろう。

 それでも、カメラとしての完成度は格段に向上しており、オリンパスらしい鮮やかなブルー、高感度でも低減されたノイズ、ほかにはないダストリダクションシステムなど、カメラとしての魅力は高い。

 一からレンズを作らなければならないEシステムの問題も、E-500に合わせてプロ向けの高スペックレンズを含めて複数が登場しており、ラインアップが充実してきた。デジタル専用というだけあって、周辺まで高い描写性能を示すレンズ群がそろっている点もうれしい。

 こうなると、次はE-1をリニューアルしたプロ向けの製品や、ニコン「D200」やキヤノン「EOS Digital 20D」「同5D」といった中級〜上級者向け製品の投入に期待したい。それが十分に期待できるポテンシャルを、E-500は秘めているといえるだろう。

 ちなみに、オリンパスによればE-500は「E-300の後継ではない」らしい。E-300のようなチャレンジングな製品ラインは残していきたい意向のようで、今後もそうしたおもしろい製品を作っていってもらいたいところだ。

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