こちらは、2001年から日本海で操業実験を行っている「集魚灯用LED」搭載のイカ釣り漁船(模型)。イカもほかの多くの魚と同様、夜に人工光で海面を照らすと集まる性質(走行性)を持っていて、その性質を利用してイカ漁が行われているのは周知の通り。海の上に明るい光を放つ漁船が浮いている光景を見たことがある人も多いだろう。
しかし現在の集魚灯は、電力消費の大きなメタルハライド灯を使用しているため、漁船は発電機を回すためにエンジンを一晩中かけっぱなし。10トン未満の小型漁船でも、一晩でドラム缶1〜4本分の重油を消費するという。また、一晩中大光量にさらされる漁師たちが日に焼けてしまったり、目を悪くするといった弊害も報告されている。
ところが高効率のLEDを使用すると、「電源はバッテリーでOK。イカの視感度に合わせた青色LED(470〜490ナノメートル)を使えば、漁師達に弊害が及ぶことはない。しかも、青色域の光は、海の深いところまでビームが届く」(サンケン電気)といったメリットがある。つまり、LEDで必要な波長の光に絞ることで、低公害、省エネ、高効率、そして健康的なイカ釣り漁が可能になるのだ。
ちなみに、魚も光の波長に対する好みがあって、たとえばサンマ漁では「赤」と「青」、サバ漁では「緑」を使用するらしい。このあたりも研究段階のようだが、近い将来、夜の海でカラフルな漁船を見ることができるかもしれない。
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