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単焦点レンズが似合うフルサイズのデジ一眼――キヤノン「EOS 5D」〜広角レンズ編レビュー(2/4 ページ)

» 2005年12月09日 13時20分 公開
[永山昌克,ITmedia]

 フィルムの一眼レフ機、あるいはEOS-1Dsシリーズなど従来のフルサイズ機のユーザーにしてみれば、このボケも今さら珍しいことではないだろう。被写界深度の浅さは、EOS 5Dならではというより、正確には35ミリフルサイズ機の特徴だ。

 とはいえ、ふだんAPS-Cサイズのデジタル一眼レフ機やコンパクトデジカメに慣れている目には、このボケは新鮮に感じるはず。そもそもボケというのは、写真らしい表現だ。人間の視覚とは異なり、ピントが合った部分とそれ以外のぼんやりと写った部分とに差があるからこそ、平面の写真に立体感が生じ、奥行きのある表現になる。

 ただ逆にいうと、ボケやすいということはピンぼけが生じやすいという意味でもある。EOS 5DのAFは正確かつスピーディで信頼できると感じたが、被写体のどの部分にピントを合わせるのか、しっかりと見定めながら撮るようにしたい。

photo ファインダーが大きくて見やすいことも、フルサイズのメリットだ。AFの測距点は、四角く表示された9点に加え、AIサーボ専用の6点が中央の円の枠内にある
photo 新発売の標準ズーム「EF24-105mm F4L IS USM」をセットした状態。大きくて重いレンズだが、EOS 5Dに装着した場合のバランスは悪くない
photo 「EF24-105mm F4L IS USM」の中間の焦点距離84mmで撮影。ピントが合った部分はシャープに解像した。オートホワイトバランスの安定感は高い
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同じく「EF24-105mm F4L IS USM」を使い、105mmの焦点距離で撮影。目にピントを合わせたが鼻や胴体はボケている。感度はISO1600を使用

明るい広角単焦点レンズが生きる

 上の作例には、EOS 5Dと同時期に発売された標準ズームレンズ「EF24-105mm F4L IS USM」を使用した。メーカーから貸し出しを受けた際にも、このレンズが同梱していた。しかし、EOS 5Dのよさが生きるのは、この標準ズームではなく、単焦点レンズだと個人的には思う。

 「EF24-105mm F4L IS USM」が悪いわけではない。広角から中望遠までの焦点域をカバーし、手ブレ補正機構も備わっているので、幅広い用途に使える実用性の高いレンズである。それは認める。

 でも、EOS 5D本体やバッテリと合わせると、撮影時の総重量は1.5キログラム以上にもなる。手軽にスナップを撮る用途には、大きくて重すぎる。せっかくの“軽量なフルサイズ機”というEOS 5Dの魅力が半減してしまう気がするのだ。

 スナップ用のお勧めは、単焦点レンズ。といっても、高価で重たいLレンズの単焦点ではなく、比較的リーズナブルで軽量な非Lの単焦点レンズである。安価とはいえ、画質はズームレンズに勝るし、Lレンズほどではないが開放F値が明るい。フルサイズセンサーによる被写界深度の浅さがいっそう際立つレンズともいえる。

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