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「音楽とIT」で2005年を振り返る(前編)今年もいろいろありました(1/2 ページ)

» 2005年12月22日 16時07分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 早いもので今年もあと10日足らず。iTMSの開始をはじめとした音楽配信サービスの本格化やデジタルオーディオプレーヤーの本格普及など、音楽とITの関係がますます深まった1年といえるだろう。どんな出来事があったのか、時系列で2005年を振り返ってみよう。

1月――低価格プレーヤーの先駆け「iPod Shuffle」が登場

 アップルコンピュータ初のフラッシュメモリプレーヤーであるiPod Shuffleは、1月に米サンフランシスコで行われたMacWorldで発表された。MacWorld開催前から“フラッシュメモリタイプのiPodが発表されるのでは?”と予想されてはいたものの、「99ドルから」という低価格を実現したことには多くの人が驚かされた。(99ドルからのiPod、「iPod shuffle」発表)

photo iPod shuffleを発表するジョブズ氏

 iPod Shuffleの国内価格は1万980円から。それまでフラッシュメモリプレーヤーの価格は512Mバイトで1万5000円前後(1Gバイトで2万円前後)が相場だっただけに、「iPodなのに、512Mバイトで1万円」という価格設定は他メーカーにしても驚異に映ったようだ。その後、複数のメーカーがフラッシュメモリプレーヤーの価格改定に踏み切った。(クリエイティブ、Zen MicroとMuVo2値下げ)(アイリバー、フラッシュメモリ型プレーヤーを値下げ)

 ただし、iPod Shuffleは「シャッフル」という考えを前面に押し出し、「容量が少なくてもいい」「液晶が無くてもいい」というスタイルを提案するため、万人受けしたとは言い難いのも事実。発表直後に行われたC-NEWSの調査によれば、「高評価ながらも購入意欲はあまり高くない」という結果が出ている。(iPod shuffle、高評価だが購入意欲は高くない?)

2月――ヤフーが音楽配信サービスを開始

 ポータルサイト最大手のヤフーが音楽配信サービスの開始をアナウンスしたのが2月21日。まったく新規の独自サービスを立ち上げるのではなく、Moraを運営するレーベルゲートと提携し、Moraのシステムを利用するスタイルだった。(ヤフーがダウンロード音楽配信に参入、レーベルゲートと提携)

photo Yahoo!ミュージックダウンロード

 それまでにもポータルサイトとしてはエキサイトが「Excite Music Store」、MSNが「MSN ミュージック」などを開始しており(エキサイト、1曲150円からの音楽配信サービスを開始――年内に10万曲を提供)(MSN、音楽配信サービス「MSNミュージック」をまもなく開始)、ヤフーのサービス開始は決してとっぴな印象を与えるものではない。しかし、音楽配信が一部の愛好家だけに受け入れられるサービスではなく、ごく一般向け的なサービスとして認知され始めたことを象徴するできごとといえる。

3月――ウォークマンの逆襲

 今でも一部では「香水瓶」のニックネームで親しまれているスティックタイプのウォークマン「NW-E5xx」「NW-E4xx」が発売開始されたのは、3月21日のこと。((ソニー、「3分充電3時間再生」のスタミナフラッシュメモリプレーヤー)

photo FMチューナー搭載の「NW-E507/E505」

 同社のポータブルCD/MDプレーヤーに付属しているリモコンを模した分かりやすい操作インタフェースと、再生可能時間50時間/3分で3時間駆動などソニーらしいスタミナを兼ね備え、瞬く間にヒット商品に。発売直後は一部量販店で品切れまで起きたほどだった。その後、愛称は「ウォークマンスティック」と改められたが、ウォークマンの復活を感じさせた製品だった。(レビュー:デザイン一新、美しい有機ELディスプレイ――ソニー「NW-E405」)

 “PCレス”というスタイルの提案も本格化してきた。松下電器産業が3月17日に発表したオーディオプレーヤー「D-Snap Audio」シリーズ(SV-SD100V、SV-SD90)と、SDカードスロット付きミニコンポ(SC-PM910DVD)は、デジタルオーディオプレーヤーのメリットをそのままに、PCを所有していない、あるいはもっと手軽にオーディオプレーヤーを使いたいという層へアピールした。(あゆの新提案?――松下が“PCいらず”のSDオーディオ製品群を発表)

photo 松下電器産業の発表会にはCMキャラクターの浜崎あゆみさんも駆けつけた

 また、同月23日にはオリコンが音楽配信サービスを開始した。本来は2月8日から開始される予定だったが、先行配信時に不具合が発生し、システムの強化が行われたという。レコード会社や有力ポータルサイトに続き、オリコンのような音楽関連専門企業が配信サービスに参入することで、さながら音楽配信ブームともいえる状態になった。しかし、本命と目されているiTunes Music Storeについては海外での成功が伝えられるばかりであった。

4月――「iPodから金を取れ」権利団体が主張

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