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「音楽とIT」で2005年を振り返る(前編)今年もいろいろありました(2/2 ページ)

» 2005年12月22日 16時07分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 4月28日、音楽関連の7団体が私的録音録画補償金の対象にデジタルオーディオプレーヤーを含めるように求める意見書を文化庁 文化審議会著作権分科会 法制問題小委員会に提出した。(「iPodからも金を取れ」――私的録音補償金で権利者団体が意見書)。問題については以前より同委員会でなど議論されてきたが、意見書という形で明確な権利団体が意思表示を行ったことが大きな話題となった。

 ITmediaでも「著作権」のページなどで何度か報じているように、現在の私的録音録画補償金制度はiPodなどをはじめとするデジタルオーディオプレーヤーはその対象に含めておらず、権利団体は「CDからiPodなどへコピーする行為は私的複製の範囲を超えており、権利者への保証が必要だ」と主張した。

 一方、JEITAや日本記録メディア工業会をはじめとするハードウェアメーカーはこの意見に反対の意見を示したほか、法制問題小委員会の委員からも「デジタルオーディオプレーヤーを制度の範囲に含めればよいという問題ではない」など慎重な対応をすべきという意見が出され、すぐさまデジタルオーディオプレーヤーが制度対象に含まれることはなかった。

 なお、同委員会がその後まとめた報告書には「私的録音録画補償金制度そのものの見直しを行うべき」と記載されており、この問題に対する結論は2006年以降に持ち越されている。(コラム:私的録音・録画補償金制度では誰も幸せになれない

5月――ウォークマン好調、安価なポータブルプレーヤーが人気に

 ソニーが3月に発表した「ウォークマンスティック」の好調さが目立つ月だった。5月上旬の販売ランキングを見ると、ランキング上位10機種中5機種のウォークマンスティックを含むソニー製品で、iPod(第4世代のM9282J/A)と上位機種のiPod Photoはランク外となっていた。(ソニーが躍進するポータブルプレーヤー、“必殺技”iTMSの登場はあるのか?)

 東芝からは垂直磁気記録方式HDDを搭載したgigabeatも発表されたが、このころから“売れ筋”ポータブルプレーヤーの平均価格は低下の傾向を示し、大容量(そして比較的高価)なHDDタイプの人気に衰えが見え始めてきた。

photo 垂直磁気記録方式のHDDを搭載したgigabeat F41(右)

 iPod Shuffleを筆頭に、512Mバイトで9000円前後、1Gバイトタイプでも1万5000円前後の製品が人気を博すようになった。この価格帯はポータブルCD/MDとオーバーラップするものであり、ユーザーがこれらからの乗り換えを検討し始めた時期ともいえる。

6月――多様化が進むポータブルプレーヤー、iTMSの登場がウワサされる

 ボーナス商戦を控え、ポータブルプレーヤーにも差別化要素を盛り込んだ製品が複数登場した。“音質マイスター”が全面的に協力したというケンウッドの音質重視製品「HD20GA7」や、ポータブルCD/MDで培ったノウハウを投入したという日本ビクターの「XA-AL55」「XA-MP101」、携帯電話のように着せ替え”が可能なクリエイティブメディアの「Zen Neeon」、20GバイトのHDDを搭載しながら1万円台を実現した長瀬産業の「PD-2000」などだ。

photo 「音質」というこれまであまり重視されていなかった感のある要素へ注力したケンウッドのHD20GA7

 これまで話題のなかったiTunes Music Storeに関する話題が急浮上したのも6月のこと。新聞各紙が「8月上旬に東芝EMI、コロムビアミュージックエンタテインメント、エイベックスなどから楽曲提供を受ける」と報じたものだが、アップルコンピュータは「ノーコメント」として真偽の程を明らかにしなかった。

 しかし、レーベル各社は「提案を受けて話はしているが、具体的な話ができる状態ではない」(東芝EMI)、「協議をしているのは事実。(音楽配信サービスの)間口を広げる意味もあるので、iTMSの登場は歓迎したい」など歓迎ムードを漂わせた。(TMS開始報道にレーベル各社、「協議はしているが決定事項はない」)

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