ITmedia NEWS >

パーソナル・アーカイブの勧め小寺信良(1/3 ページ)

» 2005年12月26日 13時50分 公開
[小寺信良,ITmedia]

 今年5月、約18年飼い続けた愛猫が、ついに病没した。筆者の独身時代から結婚、そして子供が2人できるまでの人生を、共に歩んできたことになる。色々な思い出とともに在りし日の姿をしのび、筆者は猫を撮った写真をまとめようと思い立った。

 18年前といえば、1987年だ。当然デジカメなどなく、筆者もフィルムカメラは実家に残したままで、職場の先輩から一眼レフを借りて子猫の頃の姿を撮影したものである。それ以来撮影する機会はしばらくなかったのだが、1998年ごろにデジカメを購入し、ビデオカメラなどのレビューをやるようになったころから、急激に猫の写真を撮るようになった。

 猫は、テスト撮影の被写体として実に優秀だった。何せ一日のほとんどを寝て過ごしているので、多少セッティングに手間取っても、ずーっと同じ姿勢でいてくれる。肖像権を主張することもなく、ギャラはニボシの2〜3匹である。また細かい毛並みのディテールがどれぐらい出ているかで、解像度を判断する指針にもなった。ナイトショットモードのテストとして、押し入れの中での寝込みを襲ったこともある。このときはさすがに目をしょぼつかせ、とても迷惑そうだった。

 そんな事情もあって、猫の写真は仕事用の製品写真や原稿などと一緒になって、あちこちに存在する。一応仕事のデータ類は、傾向別や期間で区切ってCD-Rにバックアップしてあるのだが、6〜7年分の仕事を集めると、CD-ROMで50枚ぐらいある。

 同じく仕事以外で撮影した風景や家族写真などは、別系統としてこれまたCD-Rに保存してある。保存してあるとは聞こえがいいが、実際には保存してから一度も見直したりすることもなく、ただ存在するだけと言っていい。

 CD-Rはデータの保存には安価で便利なメディアだが、枚数が貯まってくるといちいち探し出すのがおっくうで、結局はなくても困らないようなものになってしまっているのだ。だが、全部の写真がメディアチェンジなしでブラウジングできるようになれば、過去に撮った写真ももっと生きるのではないだろうか。

アーカイブ構築

 そこで筆者は、PCのデータバックアップ用として使っていたNASに写真専用のフォルダを作り、そこに家族関係の画像データすべてを放り込むことにした。家族写真の「アーカイブ」をその上で構築しようというわけである。

 現在筆者が使用しているNASは、バッファローの「TeraStation」こと「HD-H1.0TGL/R5」である。容量は250GバイトのHDDが4つで合計1Tバイトだが、RAID5で運用しているため容量が若干少なくなり、750Gバイトとなっている。

 これだけ大きなストレージが必要かといえば、「あって損はない」というのが率直な感想だ。マシン数台分のシステムアーカイブファイルのほか、仕事のテンポラリ的なバックアップに使用できる。例えば映像の仕事をするときなどは、素材映像のキャプチャで一時的に数百Gバイトのファイルを抱えることもある。そういうものもテンポラリ的にバックアップしておけば、別の仕事が割り込んできて一時的に作業用ストレージをいくらか空けなければならないような事態が起こっても、安心して作業できる。

 今まではそのようなバックアップ用途でしか利用してこなかったNASだが、「写真のアーカイブ」はちょっと考え方が違う。単にもしもの時の用心というだけではなく、再利用を前提とした保管ということになるだろう。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.