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「音楽とIT」で2005年を振り返る(後編)今年もいろいろありました(3/3 ページ)

» 2005年12月26日 13時58分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 満を持して発表されたウォークマンAシリーズが販売開始。発売開始直前には渋谷で50時間にも及ぶカウントダウンイベントが開催されるなど、力の入った船出だった。しかし、ライブラリーソフト「CONNECT Player」については作り込みの甘さを指摘する声が多かったほか、アップデートが短期間で2度も行われるなど、注目度に水を差す出来事も見られた。

photo 渋谷では新ウォークマンの発売を祝って、11月17日午前9時から50時間にも渡るイベントが行われた
photo 「NW-A1000」のソニースタイルモデル「NW-A1000/B」。レビューはこちら

 国内ではあまり大きな話題にならなかったようだが、SONY BMGのコピーコントロールCDに、マルウェア(スパイウェアやワームなど“悪意のこもった”ソフトウェア)のrootkitに類したソフトが含まれていると指摘された問題も注目すべきだろう。

 同社からは問題のコンポーネントを削除するアップデータが提供されたが、そのパッチにも問題があることが指摘され、結果としては当該技術を採用したCDの生産中止・回収に至った。このソフトは元来、コピー防止を目的としたものだが、行きすぎた著作権保護はユーザーの権利を侵害しているとして米国の一部では集団訴訟にまで発展している。(特集:“スパイ的コピープロテクト”の波紋)

12月――iPod人気が続くが、他社からは独自アプローチの製品も多数

 年末商戦に突入した12月。Gfkマーケティングによる販売ランキングを見てもiPodシリーズの人気が依然として高いことが分かる(ソニーの新ウォークマン、松下電器産業のD-Snapシリーズもランクインしているが、1位は登場以来iPod nanoが独占)。

 一方で、アップル以外からはPCレスという流れを推進する製品が多く登場した。ダイレクトエンコーディングした楽曲でもMuiscIDを利用することでデータ管理が可能になる長瀬産業の「HMP-100」や、ANY MUSICが利用できるソニーのCD/MD/HDDミニコンポ「NAS-M7HD」といった製品が登場し、より気軽にデジタルオーディオを楽しめる環境が用意されつつある。

photo 長瀬産業の「HMP-100」。ダイレクトエンコーディングなどでアナログ入力した楽曲情報も検索可能な「MusicID」機能を備える

 また、1メートル以上からの落下に耐えられるというシャープの「MP-S200」や、MPEG-2を始めとした多種多彩な動画ファイルの再生が可能なクリエイティブメディアの「Zen Vision:M」、コスメ用品のようなデザイン製の高さでアピールする東芝の「gigabeat P」など、デザインや機能で独自性を主張する製品も多い。

 こうした製品はいずれも“巨人”アップルのiPod+iTunesには実装されていない機能/サービス/デザインなどを備えており、これまでの「PCにストックされた曲を持ち出して聴くだけ」というポータブルプレーヤーの概念を突き崩そうとしている。しかし、アップルが「音楽とIT」という2つのセグメントを結びつける術に長けていることも広く知られている。

 「Shuffleショック」で幕を開けた2005年だったが、あと半月もすれば2006年。年頭にはアップルの一大イベント「MacWorld」が米サンフランシスコで行われる。そこでジョブズCEOは一体どんな「新しい何か」を見せてくれるのだろうか。国内メーカーの奮起も期待したいところ。“PCレス”の姿勢をより強める松下電器産業や、ウォークマンの復権にかけるソニーの動向にも注目だ。

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