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ワイヤレスシステムへの巧妙なアプローチ――ソニー「HT-SL800W」サラウンドシステム特集(1/3 ページ)

» 2005年12月26日 14時37分 公開
[浅井研二,ITmedia]

 サラウンドスピーカーをワイヤレス化……と聞くと、5.1ch分のスピーカーがすべて配線不要と捉えてしまう人もいるかもしれない(いないか……)。しかしここでいうサラウンドスピーカーとは、実際には後ろに置く、いわゆるリアスピーカーのみを指している。もちろん、すべてのスピーカーをワイヤレス化してもいいわけだが、そもそも無線で送受信するためには、受信側にも電力が必要なわけで、全スピーカーに電源を接続するか、あるいは、バッテリーを内蔵しなくてはいけない。

 以前紹介したソニーのホームシアターシステム「HT-SL99BW」は、リアを1本にまとめたうえでワイヤレスユニット化し、さらにバッテリーまで内蔵させた製品だった。ソニーではほかに、“光ワイヤレスホームシアター”として「DAV-LF1」「DAV-SR4W」「DAV-SR1W」をラインアップしている。ただ、これらの3製品は、いずれもプレーヤーまで搭載したDVDシステムだ。アンプとスピーカーのみで構成されるワイヤレスホームシアターシステムは、「HT-SL99BW」のみだったわけだが、ここへ新たに追加されたのが「HT-SL800W」である。

photo 111.2センチの高さのトールボーイ型スピーカー4本を中心に、センタースピーカー、サブウーファー、そして、FM/AMチューナー内蔵アンプで構成される、ソニーの光ワイヤレスホームシアター「HT-SL800W」

 この「HT-SL800W」では、「DAV-SR4W」と同様に、トールボーイ型スピーカーを採用した。幅9×奥行き7センチと非常にスリムなスタイルで(スタンド部分は直径25.5センチ)、しかも高さは111.2センチにも及ぶ。さらに、フロントのみならずリアも、1メートル以上の高さのスピーカー4本で揃えた点が、最大の特徴といえるだろう。4本のスピーカーともすべて同じに見えるが、実際にはリア左のユニットのみ異なり、最上部に受光ユニットを内蔵している。発光側は、アンプ/チューナー部と接続する外付けタイプのユニットだ(おそらく「HT-SL99BW」と同じもので、ケーブル長は3メートル弱)。

photo リア左のスピーカーは、最上部に受光ユニットを内蔵した。これにより、リア2本はアンプへの配線が不要となる。形状はほかの3本とまったく同じで、幅9×奥行き7センチと非常にスリム
photo サブウーファーは幅200×高さ379×奥行き335ミリ、質量約6キロと、さほど大型ではない。使用ユニットは16センチコーン型で、バスレフポートも装備している

ほかの機器との干渉が気にならない「S-DIAT」赤外線伝送方式を採用

 ソニーの“光ワイヤレスホームシアター”シリーズでは、すべて「S-DIAT」と呼ばれる赤外線伝送を採用している。無線方式と異なり、見通しが遮断されると信号も途絶えてしまうのが欠点だが、光線の経路はさほど狭くはないため、実用上は問題ない。また、この「S-DIAT」では、赤外線の使用帯域をオーディオ専用に確保された3〜6MHzに設定している。そのため、リモコンをはじめ、ほかの赤外線方式を採用した機器との干渉もほとんどない(受光ユニットへ向けて、至近距離からリモコンの信号を出したりすれば、リアスピーカーの音は一瞬途切れるが、実際にはありえないだろう)。

photo 右側は(リモコン受光部ではなく)リアスピーカーへ音声を伝送するための発光ユニット。スタンド部は角度調整ができるほか、後ろに回せば壁掛けも可能。リモコンはアンプ/チューナー部のほか、ソニー製のテレビ/ビデオデッキ/DVDプレーヤー/DVDレコーダー/衛星放送チューナー/オーディオ機器の操作にも対応する
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