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ホームプロジェクター購入のポイントバイヤーズガイド(1/4 ページ)

» 2005年12月30日 00時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 もう年末、+Dの更新もそろそろ終わりのタイミングだが、昨年に引き続いて普及型プロジェクターを選ぶ時のポイントをまとめてみることにしたい。特に720Pの透過型液晶プロジェクターは、同じデバイスを用いた製品が4製品も並ぶ。

 データ用プロジェクターは使ったことがあっても、ホームシアター用に関しては勝手がわからず、どれを選べばよいのやら? と思案している読者もいることだろう。年末商戦は終わったが、年が明ければ新春セールが始まる。

 今年の年末商戦は金額ベースでハイビジョン対応レコーダーが通常のハイブリッドレコーダーを超えたというが、録りためた年末年始のハイビジョン番組をシアター環境で楽しむためのプロジェクター。新年早々にでもいかがだろう?

大幅に市場が伸びたローエンド機

 LifeStyleでは720P対応のハイビジョン機を中心にプロジェクターを紹介したが、今年の年末商戦を引っ張ったのは、高コントラスト化を果たした新デバイスを用いた中級モデルではなく、従来からのデバイスを用いたローエンド機だったという。

 ホームプロジェクター市場は堅調な伸びを示しているが、新規のユーザーを惹き付けたのは低価格の480P対応ワイドパネルを搭載した機種である。中でもDVDとスピーカーが一体化されたセイコーエプソンの「EMP-TWD1」が、大きく伸びたローエンド市場でおよそ半分を占める大ヒットモデルとなった。

photo 「電源、DVD、ドーン」──簡単設置のセイコーエプソンDVD一体型プロジェクター「EMP-TWD1」

 プロジェクター、DVD、アクティブスピーカーの三つを一体化した機種としては、オプトマが「Movie Time DV10」として発売(DLP方式)しているが、投射距離が長くレンジシフトが利用できない。手軽にリビングに持ち込んで、好きな位置に投射して……。このようなEMP-TWD1の柔軟性を消費者は選んだようだ。

 このEMP-TWD1は、単体プロジェクターのEMP-TW20を基礎に開発されており、絵作りの巧みさや発色の素直さなど不安定さ、ピーキーさがなく、誰でも手軽に大画面を楽しめる。2世代前のD3パネルを改良したものが使われている事もあり、最新中級機に比べるとコントラスト比がやや低くは感じるが、絵作りのうまさもあってイヤな印象は受けない。

 本来、プロジェクターは設置環境など外的要因で大きく画質が変化する商品ということもあり、これまでは硬派に画質を追う機種が好まれてきたが、今後は一体型を中心にDVDの視聴に特化したローエンド市場がさらに伸びるだろう。

 その一方で720P対応機は、昨年比の販売数はマイナスに転じているという。しかし、本記事ではあえて720Pを中心に話を進めたい。このクラスの製品は、性能と価格のバランスがもっとも優れれていると思うからだ。

画質を比較する前に考えておくこと

 ストイックに画質だけを求めるのであれば、製品の絵作りや映像処理チップの性能を比較すれば良いだけだ。しかし専用シアタールーム、あるいは画質向上を考えて環境を整えた部屋で使うならば、まずは自分の使い方をきちんと整理しておく事を勧めたい。

 前述したようにプロジェクターは投射環境によって画質が変化し、また設置可能な環境も機種によっては限定される。ホームシアターを構築するために、部屋の模様替えなども含めて、欲しい機種の条件を決めていこう。

・設置スタイル

 プロジェクターの使い方は大きく分けると2つ。ひとつはプロジェクターを使うたびに設置を行い、不要な時には片付けてしまう「お片付け型」。もうひとつは天井つり下げや棚置き設置など「常設型」だ。

 お片付け型を細かく掘り下げると、ソファーなどの前にテーブルに置くする場合と、サイドテープルに置く場合が考えられる。いずれの場合も投射距離は比較的短くなるため、大画面を楽しむにはワイド端の画角が広いものを選びたい。

 最近は100インチで3メートルという製品が多いが、日立の「PJ-TX200J」は100インチを2.8メートルで投射できる点で有利だ。とはいえ、透過型液晶パネルならば、おおむね100インチ3メートルはクリアしているから、どれを選んでも大きな不満はないはず。一方、DLP方式の場合は投射距離が長いものが多く選びにくい。

 さらにサイドテーブルに置く場合は、少なくとも左右それぞれ0.5画面分のシフトはほしいところ。つまりレンズ正面が画面の端にできる事が条件となるだろう。左右シフトが大きいのは三洋電機の「LP-Z4」とエプソンの「EMP-TW600」。「PJ-TX200J」と松下電器の「TH-AE900」は左右シフトが少ない。またローエンドのDLPは一般にレンズシフトは装備されていないため、条件からはずれてくる。

 一方、常設型で気をつけたいのはズーム比だ。前述したように透過型液晶プロジェクターは短焦点化が進んでいるため、ズーム比が小さいと縦長の部屋で背面の壁際に設置するとき、画面が大きくなりすぎる事がある。投射サイズがあまり大きくなり過ぎると、スクリーンの単価が高くなるだけでなく、画面の明るさを確保しにくくなる。

 また下方向へのシフトが少ない機種、あるいはレンジシフト機能がない機種の場合、棚置きで高い位置に設置する場合に、本体を逆さまに置かなければならない。逆さまにおいても大丈夫なモデルかどうか? というのも機種を選択する上で気をつけておきたい。

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