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ホームプロジェクター購入のポイントバイヤーズガイド(4/4 ページ)

» 2005年12月30日 00時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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松下電器産業

コントラスト向上で進化した“ハリウッド画質”――松下「TH-AE900」

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カラリストとともに絵作りを行う“ハリウッド画質”の3代目が松下電器産業のシアタープロジェクター「TH-AE900」。最新のエプソンD5パネルを採用したことで、どこまで表現力を向上させているだろうか。


 “ハリウッド画質”のキャッチコピーも3世代目となり、すっかり松下電器製プロジェクター=映画向けのイメージが定着した。そのハリウッド画質は毎年進化しているが、今年の新モデル「TH-AE900」にはその集大成とも言うべき高い完成度を感じる。

 従来のハリウッド画質は、確かにうまくまとめられており、完全に暗くした部屋で見ていると業務用の基準モニターに近い雰囲気の絵が出てくる。“近い”と表現したのは、全く同じえはないためだが、基本的にはEBU蛍光体を用いたブラウン管を色温度6500度でキャリブレートしたモニターにそっくりの色再現。そこに若干のエッセンスを加えて完成といった印象だ。

 しかし従来のTH-AEシリーズは、やや黒浮きが目立っていた。黒が浮いていても絵作りが上手であれば通常は問題ないが、最近のハリウッド映画は極端に暗い場面が多く、暗部表現ではやや辛いという印象もあった。「TH-AE900」のハリウッド画質は、D5パネル採用によって拡大したコントラスト比を暗部表現に主に使っており、前モデルに比べてグンと下がった黒レベルまでの間に上手に階調を載せている。

 クラス最小の135ワットランプは、さすがに明るさを残した部屋での投射ではやや落ちるが、暗室で映画をゆっくり楽しむ用途では十分な光出力がある。

 一方、やや落ちる設置性や映像回路は昨年モデルからそのまま引き継いでいる。不自然さをほとんど感じさせないダイナミックアイリスの見事な制御など、熟成を感じさせる部分はある。しかし、1080iソース時にエッジに不自然さを感じる場合があり、映像回路の刷新を望みたい。

 もっともそうした弱みは、HDMI接続で送り出し側が720Pでの出力を行えば解決できるものだ。入力端子のアナログとデジタルでの画質変化は比較的大きい方なので、プレーヤーやレコーダー側にはHDMI端子を装備したものを組み合わせるのがいいだろう。

 さて本機はどんなユーザーにお勧めか。やはり映画を中心としたソースを照明を落とした環境でしっとりと楽しむユーザーに向いている。純色がやや彩度が高く出る傾向はあるが、不思議とどの映画でも気にならない。

 設置条件としては視聴位置正面周辺に置くか、背後に棚置きで設置できる事が条件だ。左右のシフト幅は少なめなので、よく考えて選ぶようにしたい。

日立製作所

細やかな階調と豊富な調整機能が魅力――日立「PJ-TX200J」

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日立製作所のPJ-TX200Jは、大口径レンズによる抜けのいい明るい映像と豊富な画質調整機能が魅力。前モデル比でも長足の進歩を遂げており、映像出力機器として全体的なクオリティの向上が図られている。


 日立製作所「PJ-TX200J」のデザイン上のアクセントにもなっている大口径レンズは、決してこけおどしではなく、しっかりと画質面でも貢献している。クリアで透明感のある投射像は、レンズの素性の良さから来るものだろう。周辺部と中心部の画質差がやや大きめで、セットによっては片ボケ傾向も見られるが、それを考え合わせても良いレンズセットだ。

 設置性の面ではシフト量は松下の「TH-AE900」とならんで少なめではあるものの、ダイヤル式のため本機の方が操作はずっとやりやすい。ズーム倍率が低いため長い距離での投射に難があるが、テーブル置きなど短い距離で大画面を楽しむには、100インチを2.8メートルで投射できる短焦点の設定が魅力だ。

 また「LP-Z4」と同じくアイリスを2個装備している点も興味深い。構造や仕組みはほとんど同じである。異なるのはレンズアイリスの調整幅が本機の方が広いこと。およびランプアイリスの自動制御が2種類用意され、ユーザーが選択できる点である(LP-Z4の場合、画調モードと連動してアイリスのオート制御幅が変化する)。かなり明るくパワフルな大光量と幅広いレンズアイリスによって、明るい場所から暗い場所まで、様々なシーンに合った設計を探せる点は本機の長所だ。

 このアイリスの難点はシーンごとのアイリスポジションの切り替わりが、あまりにもハッキリと見えてしまうこと。たとえば暗めのシーンに切り替わったとき、単にシャドウ部の黒浮きが減って締まるだけでなく、グググッと中間輝度の領域まで明るさが落ちていくのがハッキリわかる。このあたりの見せ方は、もう少し上手にやってほしいところ。

 ただ暗部の色乗りをほどよく抑え、コントラスト感を強めに演出。暗部のディテールを立体的に描くところは、パネルコントラストの向上だけでなく、絵作りの面での巧みさが現れているポイントと言える。

 照明環境に応じて光量や自動アイリス制御を能動的に使いこなせる点、トーンカーブを自由に作れるカスタマイズ性など、画質の追い込みに調整してみたいユーザーに勧めたい。ポテンシャルは大きいので、追い込みのしがいもある。また前モデル「PJ-TX100J」に残っていたランプのクセも抜け、素直な色再現になった点も評価したいポイントだ。

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