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北米でパナソニックブランドが“急上昇”した理由インタビュー(2/3 ページ)

» 2006年01月17日 21時40分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「それは昨年の話と同様、商売の基本を徹底させたことです。商品の導入タイミングを守り、きちんと店員が商品の魅力を説明できるように教育を行うといったことを継続的に行っています。また、2005年は商品としての力も大きく、店頭に在庫さえあれば、(他社製品との)比較で良さをわかってもらえる画質差を持っていました。商品の良さと値頃感が相まって、消費者の中に浸透したと思います」

 「消費者側も高級志向が高まり、2004年は3分の2がワイドVGA解像度だったのですが、今や720P以上が7割を占めています。そしてそのHD対応プラズマの分野で、1〜4位までをパナソニック製が占めました」

――米国は極端にコストコンシャスな市場だといわれますが、その中で高付加価値製品へと消費者の興味が動いたのはなぜでしょう?

 「現在のHD対応機は確かに安くはありませんが、これまではもっと高価で消費者は価格面で仕方なく解像度の低いパネルを選んでいました。しかし2005年は低価格化が進み、値頃感が出始めたことでHDへの流れが一気にできあがってきました。42インチモデルが2990ドルで、それから500ドル刻みで4機種を並べています。今年はHD対応パネルがシングルスキャンになるためドライバ回路が半分になり、コストが下がります。そのコスト下げ分を消費者に還元することで、さらにHDパネル市場の伸びに弾みが付くでしょう」

――プラズマテレビのシェア1位を維持するために、すでに何らかの手は打っていますか?

 「ここ数年、北米を担当して実感したのは、米国の場合は流通トップであっても、まだまだ内部の情報やモノの流れがスローということです。たとえば全米トップのある家電品流通業者の場合、全米レベルでしか在庫調整データを管理しておらず、その数値を見ながらわれわれは納品調整を行っていました」

 「しかし、実際にはもっと細かな地域性があります。配送センターや店レベルでの在庫を見なければ、タイムリーに製品を供給することはできません。そこで流通業者と協力し、より細かな在庫調整を行うための情報システムを6カ月かけて構築しました。これにより在庫調整がうまく行っていなかったところでも上手に商品を供給できるようになりました。このシステムが稼働し始めたのが昨年11月。14の地域に分け、600以上の店舗の在庫状況を把握できます。このシステムが回ることで、今後もさらに効率化を図れるでしょう」

――日本ではプラズマテレビと液晶テレビが激しく競争していますが、北米ではどうでしょう?

 「プラズマと液晶の棲み分けというのは遙か過去の話で、相当に競合する市場が出てきています。40インチクラスは完全に競合しますし、37インチ・32インチは液晶の方が優勢になってきています。消費者側は液晶、プラズマをあまり意識しておらず、画質がよく、インテリアに合いさえすればいいという考え方で、両者の特徴の違いを意識して購入はしてくれません。北米でもとても手強い印象です」

――昨年は液晶テレビの伸びが顕著だったようですが、薄型テレビ市場のどの程度を液晶テレビが占めているのでしょう?

 「27%程度が液晶で、残りがプラズマです。薄型テレビではありませんが、リアプロに関しては北米でも伸びが止まってきましたね。ただ、プラズマでは2000ドルを切るHD対応製品がありませんから、その領域ではまだリアプロも根強い人気があり、われわれもリアプロ市場に製品を投入しています」

――液晶テレビが伸びてきた中でもシェアを大きく伸ばしました。価格を見ると中国製に比べるとずっと高価なプライスタグを付けながら、きちんとシェアを伸ばしています。こうした強さはどこに原因があるのでしょう?

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