三洋電機は1月20日、業界初の“業務用空間清浄システム”「VW-VF8A」を発表した。学校や病院など「不特定多数の人間が集まる場所」への導入を想定したもの。電解水を利用して空気中に浮遊するカビ菌やウイルスを除去する新技術「virus washer」を搭載している。
「virus washer」は、電解水を浸透させた「除菌エレメント」に空気を通過させ、空気中のウイルスを除去する仕組み。水道水を電気分解すると、塩素イオンからHCIO(次亜塩素酸)が生成され、さらにヒドロキシラジカルとなる。これに空気中のウイルスが接触すると表面の“スパイク”(ウイルスの表面タンパク)が破壊され、感染力がなくなるという。三洋電機と除菌エレメントを共同開発した群馬県衛生環境研究所によると、「電解水と除菌エレメントの組み合わせにより、空気が1回通過するだけで99%の浮遊ウイルスを無害化できる」。
しかも、電解水は水道水から作られるため、「環境や人に優しく、低コスト」。空気がフィルターを通過する際、フィルター内の水分が気化するため加湿効果もある。
VW-VF8Aには、3つの運転モードが用意されており、最も強い「急風」の風量は8立方メートル/分。「たとえば180立方メートルの教室なら、1時間に空気を2.7回循環させることができる」というパワフルさだ。群馬県衛生環境研究所のシミュレーションでは、学校の教室を想定した空間(約60平方メートル/天井高2.85メートル)で同機を運転した場合、10分後にはウイルス数(単位空間あたりのウイルス密度)がほぼ半減。30分後には75%減になったという。
三洋電機では、風邪やインフルエンザが流行する季節を前に、学校や病院など不特定多数の人間が集まる場所への導入を勧めていく。また「virus washer」の技術を民生用のエアコンや空気清浄機へも応用する方針。具体的な製品スケジュールは示されなかったが、「次の梅雨シーズンを目途に、できるものから採用していきたい」としている。
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