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「BRAVIA」で勢いづくソニー、その“巻き返し”戦略を聞くインタビュー(2/3 ページ)

» 2006年01月23日 11時28分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 中でも北米市場で大きな位置を示しているのがカムコーダーだ。北米カムコーダー市場は日本ビクター(JVC)のDVカムコーダー安売りが市場にダメージを与えていたが、DVDへと直接記録できるDVDカムコーダー市場がブレイク。平均販売価格が回復し、コストダウンの進行もあってカムコーダー市場で50%以上を占めるソニーのドル箱となった。

 もっとも、ソニーが北米市場で今後もブランド力を堅持するには、リアプロで得てきたここ数年のディスプレイ市場における存在感を今後もキープせねばならない。リアプロの構成比率が下がっている中、SXRDによるフルHD対応機だけで維持できるのだろうか? 液晶テレビとリアプロが主力のソニーの場合、プラズマがカバーする50インチ前後のサイズが厳しい。

 「リアプロに関しては、SXRDの画質に関して認知が進んでいることや、自社技術で垂直統合しているため価格対応力が強い。米国では70インチでも大きすぎない部屋の環境があり、まだリアプロの競争力は失われていない。家族揃ってテレビを見る文化もある。今後、リアプロはまだ伸びる市場だ。2006 International CESでは奥行き25センチのリアプロを展示した。そろそろ壁掛けもできるレベルだろう」(小宮山氏)。

photo 参考出展された55インチのSXRDリアプロジェクションテレビ

 “自信"と"強気”。小宮山氏のコメントからは、“映像のソニー”の誇りを感じるが、しかし、BRAVIAブランドの素早い立ち上がりの背景には、商品力やソニーブランド効果だけでなく、禁じ手とも言えるハイエンドブランドの併用も含まれている、と指摘する声もある。

 ソニーは北米でマニア向けの高品質ディスプレイに“XBR”というブランドを付けてきた。XBRのバッジを付けた製品は、一部の高級AV機器専門店向けだけに出荷が限られ、一般売りされるソニーのテレビとは一線を画したプレミアムブランドとして定着していたのだ。

 しかしソニーはBRAVIAブランド立ち上げに際し、XBRマークを一般向けの上位機種に解禁。現在は量販店に並ぶBRAVIAの額縁部分に刻印されている。言い換えれば、XBRブランドを賭してでも、BRAVIAを立ち上げねばならないほど厳しい状況に追い込まれていたのかもしれない。その賭の結果が出るまでには、今年1年を見守る必要がありそうだ。

 さらにもうひとつ、北米ソニーが取り組まなければならないのが、パーソナルオーディオの立て直しだ。

 「パーソナルオーディオは確かに苦しい分野ではある。しかし、日本と同じくフラッシュメモリベースのコネクト系製品はすごく好調で、こちらの伸びを見る限りは期待できる面もある。とはいえ、コネクト系と従来のMDなどを合計しても、全体として落ち込みがあるのは確かだ。ただし小型AV機器全体では、カムコーダーの伸びがあって増収になっている」(小宮山氏)。

 このやりとりの中で小宮山氏は、パーソナルオーディオ立て直しのために「この夏から新しいことをやろうとしている」とテコ入れも示唆した。

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