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小型HDDプレーヤーの隠れた実力派――AVC「SN-H1000」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年01月27日 00時15分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 製品のWebサイトにはMPEG-4(SimpleProfile 15fps)の再生が可能と記載されているが、手元にあったQuickTime Proで生成したM4VファイルやImage Converter 2 Plusで生成したMP4ファイルは本体HDDに転送しても認識されなかった。MPEG-2やWMVなども含め、本体で直接再生できないファイルはナビゲーション画面に表示されないようだ。

 Transcoderが変換できるファイル形式はAVI/MPEG(MPEG-1/MPEG-2)/WMV/ASF。変換オプションも用意はされているが、Video Quality(3段階)とオーディオビットレート(3段階)しか調節できない。ソフトの日本語化は行われておらず英語表記だが、設定項目も少なく、操作に迷うことはないだろう。

photo Transcoderの設定画面。解像度やビデオフォーマットは変更できない。ちなみに、生成されたPIXファイルはWindows Media Player10やQuickTime Playerなどで閲覧することはできず、確認には同時にインストールされるプレーヤーソフトで行うことになる。

 PCにThinkPad G41(Mobile Pentium 4 3.2GHz/メインメモリ512Mバイト)を利用したところ、約30分のWMVファイル(240×180ピクセル)を変換するのに約10分、約1時間のMPEG-1ファイル(720×480ピクセル)を変換するのに約20分かかった。QuickTime ProでiPod用の動画ファイルを生成するのに比べれば時間はかからないが(関連記事)、日常的に動画ファイルを持ち出すならば、就寝前にまとめて変換をスタートさせるなどの工夫が必要になるだろう。

 動画の再生中にジョグキーを下に入れるとプログレスバーや音量、バッテリー残量が確認できる。この状態でジョグキーを左右に倒せば早送り/早戻しも可能だ。ジョグキーをしたへ入れずに左右に動かすと、同一フォルダ内の次のファイルを再生する。

photo 動画再生中の画面。ジョグキーを下に入れると、プログレスバーなどがあらわれる

 肝心の本製品上での再生画質だが、ややフォーカスが甘く、解像度も決して高くないので、字幕やキャプションが見にくい。バックライトの影響か全体的に画面が白っぽくも見えてしまう。ただ、あくまでも通勤電車内などでの「ながら見」用途として使うことを考えれば、十分に実用的といえるだろう。

オーソドックスなプレーヤー、ソフト面を含めた強化に期待

 動画再生の可能なメディアプレーヤーとしては第5世代iPodを始め、クリエイティブメディアの「ZEN VISION:M」、コウォンの「COWON A2」などが登場しており、動画のサポートは、HDD搭載タイプの標準機能になりつつある感もある(ソニーのPSPも有力な動画プレーヤーだが、それはひとまずおいておく)。

 本製品の動画再生機能は、液晶自体の解像度が低いことに起因するフォーカスの甘さを除けば、それなりには満足できるレベル。添付ソフトの変換時間も許容範囲内で、ちょっとした空き時間に、録画しておいたビデオを消化するツールとして活用できるだろう。FMラジオチューナーを備えているのも人によっては魅力的といえる。

 選曲時にキー入力に対する反応が鈍くなる場合があることや、ロータリーボリュームとジョグキーを併用する操作スタイルなど、改善を求めたい場所も複数ある。最も改善が必要と感じるのが添付ソフトだ。マニュアルにはインストール方法こそ書かれているが、実際の利用方法についてはほとんど触れられていない。初めて購入するユーザーにしてみれば、動画を再生できるようになるまでの道のりは遠いかもしれない。

 動画再生に関してはまだまだ手放しで人に勧められるとは言い難いが、音楽中心に使用するならば不満を覚えることは少ない。また、8Gバイトで2万9800円という容量と価格の設定は、これまでiPod miniが位置していたポジションにぴったりと収まる。コンパクトなプレーヤーを探しているが、フラッシュメモリタイプでは容量が足りないというユーザーにアピールする製品だといえる。

photo 付属ヘッドフォンはグリップが長い独特の形状
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