いま、非Universalの代表例といえばこれだ。まずは、アイコンをクリックしてから、最初の操作画面が表示されるまでの起動時間。ストップウオッチによる手計測で、3回の平均だ。
機種 | intel 512 | intel 1G | G5 |
---|---|---|---|
Photoshop CS2起動 | 36.3秒 | 22.5秒 | 20.7秒 |
わずかだが遅くなっている。メモリの量が起動時間にもこれだけ効いてくるというのもおもしろい。
毎度おなじみのフィルタベンチマークを行ってみる。Photoshopの「画像効果」アクションにはいくつものフィルタを使うアクションが並んでいるのだけど、そのうちの「吹雪」と「トカゲ皮」を続けて走らせるアクションを作って、処理にかかる時間を計った。使用した画像の大きさは10240×7680ピクセル。ストップウオッチによる手計測で、3回の平均だ。
機種 | intel 512 | intel 1G | G5 |
---|---|---|---|
Photoshopフィルタ | 24分58.7秒 | 18分44.9秒 | 10分16.8秒 |
182%。かなり遅くなる。エミュレータで浮動小数点演算はかなりつらいのだ。メモリの量によって差が大きいのはいつもの通り。
とはいっても、いまG4を使っているような人(わたしだ)から見れば、iMac Intelでも十分速いのではある。
「携帯動画変換君」作者 Calcium氏による、iPod用のH.264を書き出せるようにしたffmpeg(build 4759がもと)での実験。さっきQuickTimeでの実験に使ったのとおなじ9分28秒のDVファイルを圧縮した。
ひとつ目はMPEG-4への圧縮、コマンドラインは簡単に
ffmpeg -i clip09.dv -s 320x240 -b 640 clip09.mp4
もうひとつはH.264への圧縮、コマンドラインは
ffmpeg -i clip09.dv -bitexact -vcodec h264 -coder 0 -bufsize 256 -g 250 -vlevel 13 -fixaspect -s 320x240 -b 640 -maxrate 768 -qmin 2 -qmax 51 -acodec aac -ac 2 -ar 48000 -ab 64 -f ipod clip09h.mp4
計測はtimeコマンドに任せた。3回の平均(小数点1位以下四捨五入)だ。
機種 | intel 512 | intel 1G | G5 |
---|---|---|---|
ffmpeg MPEG圧縮 | 12分8.6秒 | 12分8.8秒 | 4分18.8秒 |
ffmpeg H.264圧縮 | 28分0.9秒 | 28分2.3秒 | 8分57.2秒 |
313%。劇的に遅いのがこれだ。intelチップにもかわいそうなところがあって、この処理ではせっかくのCore Duoが片方しか使われていないのだ。PowerPCのデュアルプロセッサでは両方使われているので、おそらくはコンパイルオプションのせいであろう。もっとも、コンパイルオプションを言い出せば、Universal化されるとともに、Intel CPUへの最適化がなされれば、これは劇的に速くなる可能性がある(*7)。
とはいえ、intel 1GではQuickTimeの「ムービーからiPod」では8分24.3秒だったから、今回に限れば小細工しないでQuickTimeを使った方が速いのだ。
最後に定番ベンチマークテストのXbenchで実験。いまはCPU性能に興味があるので、その部分だけを抜き出してテスト(*8)。iMac intelはメモリ1Gバイトのみ。Universal化されているバージョン1.2と、非Universalのバージョン1.1.3を使った。生の数値は違うバージョンで比べても意味がないので、ここではそれぞれのG5とintelとの比に注目して欲しい。これがRosettaの性能ということだ。
Xbench 1.2 CPU Test (Universal)
機種 | intel 1G | G5 | intel/G5(比) |
---|---|---|---|
GCD Loop | 259.63 (13.69 Mops/s) | 99.75(5.26M) | 253.1% |
Floating Point Basic | 90.93 (2.16 Gflop/s) | 104.07 (2.47G) | 86.9% |
vecLib FFT | 44.60(1.47 Gflop/s) | 108.48 (3.58G) | 41.1% |
Floating Point Library | 67.94 (11.83 Mops/s) | 98.66 (17.18M) | 68.9% |
Xbench 1.1.3 CPU Test (非Universal)
機種 | intel 1G | G5 | intel/G5(比) |
---|---|---|---|
GCD Loop | 178.24 (6.96 Mops/s) | 120.98 (4.72M) | 147.3% |
Floating Point Basic | 32.04 (115.87 Mflop/s) | 334.02 (1.21G) | 9.6% |
vecLib FFT | 15.61 (242.38 Mflop/s) | 234.88 (3.65G) | 6.7% |
Floating Point Library | 103.07 (4.13 Mops/s) | 402.00 (16.09M) | 25.6% |
「vecLib FFT」はPowerPC G4のAltiVec、G5のVMXを利用する処理なので、intelでは遅くなるのはしかたない。それ以外はどうもXbenchがあんまりintelに最適化されていないんじゃないかという感じなのだが、GCD Loopでついに2倍以上の数字をみることができた。
そしてUniversalと非Universalの差を見ると、Floating Point(浮動小数点演算)での差が激しい。Rosettaのエミュレートはこんな感じなのだ。Photoshopでのフィルタ処理が遅かったのはここに起因すると思われる。
このようにしてみると、iMac intelは、「普通に使う」人にはとっても魅力的なマシンだ。そこに入っているアプリは(Officeを除けば)Universal化されているんだから、その速さを素直に味わうことができる。一方、それだけではすまないという人には、ちょっとつらいところもある。ドライバの問題もそうだし、Rosettaの問題もそうだ。マニアっぽいffmpegはQuickTimeに負けるしね。
そういう意味で、最初のintel MacがiMacだったっていうのは、アップルもなかなか考えている。
*7 そのへん再コンパイルできるかと思って試したのだけど、うまくいかなかった。能力不足反省
*8 興味のある人のために、生データ(Xbenchs.zip)をここにあげる。開くのにはXbenchが必要だ
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