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Apple新製品発表会レポート――ジョブズ氏が「Apple流ホームエンターテイメント」をデモ(3/4 ページ)

» 2006年03月02日 07時00分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]

インテルプラットフォーム移行作戦の達成度は「50%」

今年1月からの60日で、Appleの製品ラインナップの半分がインテルプラットフォームに移行を果たした

 新型Mac miniには「Mac OS X 10.4 Tiger」と「iLife '06」が搭載され、Rosettaを介して従来のPowerPCアプリケーションも利用できる。価格は1.5GHz動作のIntel Core Solo版が599ドル(日本のApple Store価格は7万4800円)、1.66GHz駆動のCore Duo版が799ドル(同じく9万9800円で、Apple Computerお得意の「Available Today」という形で発表日からの購入が可能だ。

 「今年1月から始まったインテルプラットフォームへの移行だが、今回のMac mini発表をもって折り返し地点へとやってきた。これで主要製品ラインの半分がインテルプラットフォームへ移行したことになり、この大事業をわずか60日(2カ月)で達成したことになる」とジョブズ氏はコメントする。まだ「iBook」「PowerMac」「Xserve」という3種類の製品が残っているわけだが、これらも2006年内での移行が行われることになるだろう。また今回のMac miniでCore Soloが搭載されたことで、新型iBookにもCore Solo版とCore Duo版の2種類が用意される可能性が出てきた。

 気になるのはPowerMac(MacTower Pro?)とXserveで、これまでの製品のようにノートPC向けのIntel Core CPUを採用するのか、あるいはデスクトップPC向けのPentium DやXeonベースのデュアルコアCPUを採用するのか、その選択が気になるところである。

iTMSで10億ダウンロードを達成、そしてiPod Hi-Fiの発表

 次に話題の中心は音楽へ移った。Apple Computerでは2月23日(現地時間)、デジタル音楽販売サイトのiTunes Music Storeにおいて、営業開始から総計で10億曲目のダウンロードが行われたことを報告した。

 同社ではこれに先立ち「10億ドルダウンロード」を記念するキャンペーンを催しており、10億曲目をダウンロードしたユーザーに豪華商品の進呈などを予定していた。スクリーン上では10億曲ダウンロード達成を報じた米TV局のABCのニュースを上映し、この記念すべき瞬間に立ち会った人物を紹介した。この人物は、米ミシガン州に住む16歳のアレックス・オストロヴスキー(Alex Ostrovsky)少年。記念すべき10億曲目はコールドプレイの「スピード・オブ・サウンド」で、彼には20インチのiMac、10台の60Gバイト版iPod、1万ドル分のiTMSギフトカードなどが贈呈されたという。

 ジョブズ氏はこれについて「Music Store開業当時は、まさか3年間でここまでの実績を挙げるとは考えていなかった」と驚きを隠さない。このサービスと連動した携帯音楽プレイヤーiPodの販売も順調に推移しており、世界のMP3プレイヤー市場でのiPodのシェアは78%に達し、現在全米で出荷されている自動車の4割がiPod接続可能な機能を備えていると、その広がりを強調する。

2003年4月28日に米国でサービスが始まったiTunes Music Storeだが、3年弱で10億曲のダウンロードを達成した(左)。中央は記念すべき10億曲目のダウンロードを達成した米国在住のアレックス・オストロヴスキーくん。世界のMP3プレイヤー市場において、現在iPodは78%のシェアを獲得しているという

ジョブズ氏の次なる野望は

ホームオーディオ実現のためにジョブズ氏が挙げた4つの条件。家のさまざまな場所に、高音質の再生環境を用意する必要があると訴える

 ジョブズ氏は次なる目標について、「“音楽を持ち運ぶ”という点で大きな成功を収めた次は、ホームユースにもっと目を向けなければならない。そのために必要なのはリビングルーム、寝室、キッチンなど場所を選ばずに配置でき、かつ高音質な再生環境が実現できる製品が必要だ」と述べ、そのための4つの目標を挙げた。それを実現するApple Computerからの提案が「iPod Hi-Fi」であり、BOSEなどのオーディオメーカーが出しているiPodドック+アンプ付きスピーカーと対抗する製品なのだという。

 iPod Hi-Fiは電源+アンプ一体型のスピーカーユニットで、本体上部のユニバーサルドックにiPodを乗せて音楽を再生できる。Apple Remoteを使ってリモコン操作も行える。本体横には持ち運び用のハンドルがついていて、バッテリー駆動が可能という特徴とあわせ、プールサイドや本棚の中など、好きな場所に配置して大音量で音楽コンテンツを楽しめる。

 価格はジョブズ氏いわく「競合製品と比べても価格競争力のある設定」という349ドル(日本のApple Store価格は4万2800円)で、Mac mini同様、発表日と同日での発売となっている。またiPod関連のアクセサリとして、皮製ケースの「iPod Leather」も紹介されている。こちらの価格は99ドル(同じく1万2800円)だ。

ジョブズ氏は「iPodは音楽を持ち運ぶ点で大きな成功をみせた。今度はそれを家庭に持ち込むときだ」と、家庭での音楽環境の充実を訴える
発表会のもう1つの目玉と言えるのが、iPod用のオーディオシステム「iPod Hi-Fi」だ。iPodに高音質な再生環境を与える新製品だという
同時に発表されたレザーケースは、第5世代iPodとiPod nano用が用意されている。日本のApple Store価格は各1万2800円だ

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