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» 2006年03月20日 18時36分 UPDATE

2010年、今度は宇宙だ!――「ROBO-ONE宇宙大会」開催を発表 (2/2)

[こばやしゆたか,ITmedia]
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 ロボットと衛星は5メートルの命綱でつながれており、CPUや電源を衛星側において命綱経由で送るということをしてもかまわない。また、命綱にはテンションセンサーがつけられており、伸びきってしまったことがわかったら、それはリングアウト扱いとする。実際の戦いまでには命綱同士が絡まないようにするような技術も確立されないといけない。

 ロボットの操縦は地上より行う。もちろん、ロボットのセンサーが送ってきた情報を使った遠隔操縦(テレイクジスタンス)だ。数秒の遅延のある狭い帯域で操作することになるため、別室から3秒の遅延のある情報で戦えるかということが試されていて、現状では「良い結果」が得られているらしい。

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 また、宇宙大会に向けての体制も作り上げつつあり、ROBO-ONE宇宙大会検討委員会改め「宇宙大会実行委員会」の運営のもと「宇宙大会技術評価委員会」がフォローアップするという形になる、という前置きで、その委員長に予定されている東京大学大学院 工学系研究科(航空宇宙工学専攻)の中須賀真一教授の話となった。

 「最初のアニメですが、速度がすごい。宇宙開発の関係者が作ったら、この10分の1の速度にしてしまうでしょう。知らない人の強みです。イマジネーションを刺激させられました」

 「去年、西村さんがいきなり研究室を訪れてきて、宇宙大会の計画を聞かされたときは、『一体この人は何を言い出すんだ』と思いました。でもよく考えれば、最初は誰も考えもしなかったようなことを実現してきたというのが宇宙開発の歴史なんです。ロボットも、やってみたらできるかもしれないと思いました」

 「東大では、『CubeSat』という“学生の手による”宇宙衛星を作り、これを成功させました*1。最初は、学生に衛星なんて作れるわけがない、作れてもすぐ壊れちゃうよ、なんていわれたものですが、2年が経過して、まだピンピンしています。学生が秋葉原で買って来た部品で作った衛星がちゃんと動いている……東大のいいところは秋葉原に自転車で行けるところなんですね。わたしも西村さんたちの熱い思いを宇宙に伝えられるように、技術面からサポートしていきたいと思います」

 さらに、中須賀教授は、ロボットを動かす上での地上と宇宙との違いについて、次のように語った。

 1つめは真空。塗料などは、真空中では液体成分が抜けて剥がれてしまうケースがある。また、モーターの軸と軸受けの間で焼き付きがおこる可能性があるため、真空中でも動作するモーターを選ばないといけない。

 2つめは放射線。半導体が放射線にあたり、0と1のビットが反転するというようなことが発生する。でも、(秋葉原で買えるような)CPUのなかにも放射線に強いものがあることも、「経験上わかっている」という。

 3つめは温度。太陽光線があたる側ではすぐに80度以上の高温になる。また、アルミニウムは熱を吸収しやすく放熱しにくいものなので、ロボットの表面温度は150度以上にもなってしまうらしい。一方、地球の陰に回るとー50度という低温になるから、今度はバッテリーが動かなくなる。

脚なんて……

 質疑応答になったので、どうしても聞きたかったことを聞いた。「せっかく宇宙空間に行くのに、どうして二足歩行なんて地上の概念をひきづっていなければいけないんでしょうか?」

 西村代表は「ガンダムも鉄腕アトムも2本足だ」という、おそらくは本音であろう前置きをしたあとで、次のように語った。

 「わたしたちは、宇宙に行くために宇宙に行くわけではありません。あくまでロボットの技術を進歩させるため、そしてロボットをビジネスとして成り立たせることが目的です。宇宙に行くのはそのためのステップ。だから、ロボットが地上で役に立つためには二足歩行ということが必要になるのです」

 ここで有限会社リヴィールラボラトリ代表の田中泰生氏から、「わたしからも言わせてください」とコメントが入った。リヴィールラボラトリはROBO-ONE宇宙大会の事務局が置かれる会社である。

 「わたしの気持ちは、シャア・アズナブルが初めてジオングを見たときの、ジオンの技術兵の気持ちと一緒です。“偉い人”の西村BOSSに『足がいる』といわれたら、そうするしかありません」(会場爆笑)*2


*1CubeSatはもともとスタンフォード大学のボブ・トィッグス教授が提唱したプロジェクト。学生の手によって、民生用の部品で、衛星を作ってしまおうという計画だ。日本では、東大中須賀研究室のほか、東京工業大学日本大学などが、これにノったわけだ。詳しく知りたい人は川島レイ氏のCubeSat物語が参考になる

*2田中氏は、あの決め台詞を上手によけて発言していたのに、質問者のわたしがそれを確認してしまった。野暮なことをしてしまったと反省

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