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次世代DVDへの期待と要望麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/4 ページ)

» 2006年04月01日 16時00分 公開
[西坂真人,ITmedia]

――今回、HD DVDが商用パッケージのプレーヤーで先行したわけですが、今後、両陣営はどうなっていくのでしょうか。

麻倉氏: BDとHD DVDの将来図が、一筋縄でいかなくなってきています。昨年の規格統一交渉が分裂して、別々の道を歩むことになったわけですが、これからどのような将来図を描くのか。片方が敗れ去った「VHS対ベータ」の図式もあれば、両者ともに生きているがあまりぱっとしない「SACD対DVDオーディオ」というケースもあります。

 そうした状況の中、コンテンツベンダーの中には柔軟に対応する動きも出ています。例えば、当初HD DVD支持だったワーナー・ホーム・ビデオは、BDもリリースします。両陣営のプレーヤーが市場に混在することになった以上、両方式で出すことはすべてのユーザーにリーチをするワーナーにとって必然であるというわけです。

――最終的には、なにが決定打になるのでしょうか?

麻倉氏: メーカー的には、ハードの勢力図でコンテンツベンダーが流れる可能性が高くなりました。ハードが市場を左右する“ハードドリブン”という昔的な発想になってきたのは興味深いですね。

 近々の現実的な“次世代DVDプレーヤーの選び方”としては、自分の好きな映画がどのスタジオが出しているかをチェックすることです。例えば、私は「シェイクスピア・イン・ラブ」のマニアだから、ユニバーサルが出すHD-DVDプレーヤーにするとか、私は「パイレーツ・オブ・カリビアン」が大好きだからディズニーの支持するBD-ROMプレーヤーにするということですね。、ハリウッド大手でHD DVDしか出さないところはユニバーサルや旧ミラマックスです。そのほかは両方式をリリースするところを含めすべてBD版が出てきます。逆にソニー・ピクチャーズ/20世紀フォックス/MGM/ディズニーなどはBDしか出しません。

――書換型の方はどうなるでしょうか?

麻倉氏: ハイビジョン放送が充実している日本は、再生専用機よりも次世代DVDの録再機に注目が集まります。エアチェックを通じてコンテンツを広げるという展開ですね。エアチェックの場合、HDD内蔵レコーダーが普及して、そこからムーブというスタイルになるでしょうが、容量からするとHD DVD-Rewritableが1層20Gバイト(2層は規格策定中)に対して、BD-REは1層25Gバイト/2層50Gバイト。古今東西の例からも、容量が多いほうがエアチェックには有利です。

 ただ、容量ばかりでなく、レコーダーは操作性なども重要になります。容量で劣勢なHD DVDでも、例えば東芝RDシリーズの素晴らしさなどを生かせば、商品力で巻き返しは十分可能でしょう。いずれにしても、現行のレコーダーシェアからすると、松下とソニーが市場を握っているので、マーケット的にはBD陣営がやや有利かなという見通し。両陣営の製品が登場する秋以降が楽しみです。

photo 麻倉氏のシアタールームには、ソニー「BDZ-S77」や松下「DMR-E700BD」などBDレコーダーが並ぶ

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