ITmedia NEWS >

HD DVDの敵はBlu-rayだけじゃない?――格安“1テラ”レコーダーは買いかコラム(2/4 ページ)

» 2006年04月03日 16時00分 公開
[浅井研二,ITmedia]

1Tバイト=12万円というコストパフォーマンスは、現時点では最強か?

 地上デジタル放送の番組をTSモードで記録した場合、1Tバイトでは約128時間分の保存が可能だ。128時間といわれてもピンとこないが、たとえば、NHKの朝の連ドラを全部録画すると、1作品で15分×151回=約38時間となる。1年で2作品を放映するので計76時間。さらに、大河ドラマを1年間(1作品)録画すると、45分×49回=約37時間なので、NHKドラマが好きな人は113時間で1年分を録画可能だ(個人的には両方ともほとんど観た経験すらないが……)。

 また、デジタルCS放送の場合であれば、たいていはSD画質となるので約300時間ほど入る。どこかのプロ野球チームの熱狂的なファンであれば、今シーズンの全試合を保存しておきたいと考えるかもしれない。セ・リーグを例にとると、平均試合時間は約3時間17分(2005年度)、試合数は146なので、合計で約480時間(全試合が完全放映される球団など、ほぼないが)。

 TSモードでは全然無理で、エンコーダを介してのSPモードでも少し足りない(約440時間まで)。しかし、LPモードまで落とせば約880時間の保存が可能なので、普段はLPモードで全試合保存し、たまにNHKなどでハイビジョン放映されれば、それはそのまま残せばいい。あるいは、TSモードやSPモードで記録し続け、前半戦が終了した時期に必要な場面のみに編集するか。

 と、このような特殊な例を引き合いに出さずとも、主にNHKハイビジョンやデジタルWOWOWで映画を録画したいユーザーなら、1Tバイト=12万円のコストパフォーマンスは明白だ。BSデジタル放送をTS記録した場合、100時間までの保存ができる。つまり、映画であれば約50本を残しておけるわけだ。先日、HD DVDプレーヤーが電撃的に発売され、HD品質の映画をパッケージとして購入することも可能だが、現時点での価格は映画1本あたり4500〜5000円程度。50本分で22万5000〜25万円となる。仮に今後、1本あたり3000円程度まで下がったとしても、15万円というレベルだ。

 ほかに、すでに発売ずみのBlu-rayレコーダーを使う手もあるが、いまだにメディア単価が23Gバイト(あるいは25Gバイト)で2000〜3000円ほどするうえ、それ以前にレコーダー自体の購入に25万〜30万円かかる。それだけで「DV-DH1000W」が2台ほど買えてしまうわけだ。

 しかし、この比較はユーザーが“保存”の意味をどう捉えるかで、評価が違ってくるのも確かだ。つまり、“当面”でいいのか、それとも“半永久”に近いものを求めるか。後者であれば、現在のDVD/HDDレコーダーにはコピーワンスの存在が大きく影を落とすため、多少コストが上でも、やはり市販パッケージやBlu-rayレコーダーを選択すべきなのだろう。また画質面でも、ハイビジョン放送からの録画とHD DVD/Blu-rayパッケージでは、無視できないほどの差が出てきそうだ。逆に、コストパフォーマンスだけで比べるなら、D-VHSテープにかなうものはない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.