スピーシーズは4月3日、家庭用2足歩行ロボット「ITR」を発表した。「Internet Renaissance」という名称の通り、ネットワークから“番組”と呼ばれるプログラムをダウンロードしてサービスを拡張できるのが特徴。9月上旬には一般向けに販売する予定だ。価格は税込み19万円。
ITRは、全高330ミリ/体重1.5キロの人型ロボットだ。全身22の自由度を生かし、2足歩行はもちろん、ダンスを踊るなどさまざまな動きを見せる。また、背中のUSBポートにはIEEE 802.11gの無線LANアダプタが接続され、単体でネットワーク接続が可能だ。ユーザーとコミュニケーションをはかるため、スピーカーやLED、触感センサーなどを備えている。主な仕様は下記の通り。
製品名 | ITR |
---|---|
CPU | RPU-50(双葉電子工業製)、SH3/133MHz |
メモリ | RAM:64Mバイト、Flash:64Mバイト |
OS | Speecys OS Rev.2.0(NetBSDベース) |
自由度 | 22(サーボモータは双葉電子工業製のRS301CR) |
インタフェース | miniSDスロット、RS485、USB、シリアル |
そのほか | LEDを両手部および胸部に計168個装備、スピーカー×2 |
電源 | リチウムポリマー充電池(7.4ボルト/700mA)、ACアダプタ |
身長 | 330ミリ |
重量 | 約1500グラム |
ITRは、スピーシーズが用意する専用サーバから「番組」をダウンロードして、サービスを拡張できる。ユーザーは携帯電話のブラウザで番組サーバにアクセス。好みの“番組”を見つけたら、リモート操作でITRにダウンロードさせる。すると、たとえば「ヒップホップ」という番組なら、ロボットは音楽を流しながら踊り出すというわけだ。
ただし、番組は単なるコンテンツではない。ITRの動作やセリフにくわえ、声や仕草といった細かい部分まで変更することが可能だ。つまりロボットの人格(?)を決めるのは番組次第。あるときはネイティブイングリッシュを話す英会話の先生になり、あるときは大阪弁の漫才師、そして次の瞬間にはアニメ声のメイドロボット……。番組次第でさまざまなキャラクターを演出できる。
発表会場では、そのほかにもクイズや落語などのデモンストレーションが行われた。クイズのデモでは、胸部や両腕のLEDを使って「○×」を表示。ユーザーは、ロボットの肩や両手に設けられたスイッチを押して回答する仕組みだ。
スピーシーズの春日知明社長は、「今までの家庭用ロボットは、単体でさまざまな機能を持たせようとするあまり、メモリ容量やコストといった壁に突き当たっていた。しかし、サーバにコンテンツを置き、いつでも接続できるようにしておけば、たとえ毎日でもロボットの動作を変えることができる」と指摘する。「いきなり“鉄腕アトム”を求めてもダメだ。最初は単なるプレーヤーとして使い、技術が成熟したら機能を追加していけばいい」。
ITR用のコンテンツ(番組)は、同社が開発した「RTML」(Robot Transaction Markup Language」と呼ばれるスクリプト言語で記述する。同社はこのほかにも、Windows XP対応の開発環境やモーションエディタ、感情表現を助けるライブラリ「SYGSA」(=仕草)などを用意。セックと共同開発した番組サーバなどと合わせ、ロボット向けのコンテンツ配信プラットフォームとして提供する方針だ。
「われわれはITRを“ラジオ、テレビ、PC、携帯電話に次ぐ第5のメディア”と位置付け、一般家庭への普及を目指すとともに幅広くコンテンツパートナーを募る。この仕組みを利用すれば、ロボット向けの有料番組やスポンサーによるコマーシャルといった展開も期待できるだろう。たとえばPCの画面にいきなりCMが流れるとムッとする人も多いだろうが、ロボットがCMを始めたら面白いのではないか?」(春日氏)
開発業者向けの開発評価キットは、4月3日から受注を開始する予定。これにはロボット本体のほか、モーションエディタ、開発環境、サーバ使用権(期間限定)などが含まれる。価格は税込み50万円で、限定300セットを用意する。
一方、ITRの一般販売は9月上旬を予定している。初期販売モデルには5つの有料番組がバンドルされ、価格は税込み19万円。なお、番組についてはロボット発売時に50種を用意するほか、2007年春には100コンテンツ、2008年には300コンテンツまで拡大する計画だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR