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デジタル放送も「PSP」で見る――新型メモステレコーダー「MSVR-A10」レビュー(3/3 ページ)

» 2006年04月06日 10時59分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 たとえばDVDレコーダーなどで一旦録画したコピーワンス番組を、再生しながらMSVR-A10で録画することはできない。HDD内に録画された時点で1つめのコピーが出来たことになり、別のメディアに録画するには“ムーブ”するしかないからだ。もっとも、仮に再生録画が行えたとしても、番組の放送時間と同じだけのエンコード時間が必要になるから、利用シーンは最初から限られているだろう。

 また、接続にも少し気を遣う。たとえば、チューナーとDVDレコーダーの間にMSVR-A10を接続した場合、DVDレコーダー側(2台目になる)で録画できない。DVDレコーダー側が録画を拒否してしまう。出力端子の少ないデジタルチューナー一体型テレビなどを使用している場合は、とくに注意が必要だろう。

 さらに録画ファイルの扱いもアナログ放送録画とは異なる。デジタル放送を録画したファイルは、アナログ放送とは別のフォルダ(「MPE_ROOT\100AVE××」××は2桁の数字)に保存され、形式も異なるのでPCなどで再生することはできない。前述のようにMSVR-A10は再生機能を持たないため、デジタル放送番組を録画したときは再生環境がPSPに限られる。

photo .MGVという拡張子になり、PCやMacでは再生できない

 さて、相変わらず不便なデジタル放送だが、手間をかけるだけのメリットはあるのだろうか? 結論から言えば「それなりにある」と思う。理由は単純で、ハイビジョン番組を録画すると、最終的には同じ解像度であっても画質がかなり良くなるからだ。ちょうど地上デジタルハイビジョン番組で桜満開のニュースが流れていたので録画してみたところ、遠景でも枝の1本1本まで区別できるし、アップでは花びらの艶まで感じられた。携帯動画プレーヤーとしては大きめの画面を持つPSPならばこそ、良質のソースを使いたいものだ。

単体録画機の手軽さと柔軟さ

 読者の中には、「MSVR-A10」のような単体録画機よりも、“「おでかけ・スゴ録」に対応したデジタルチューナー搭載スゴ録”の登場を期待している人も多いはずだ。そのほうが録画予約は1発で済むし、番組名も入り、設置時は余計なコンセントが必要ない。なにかとスマートになるはずだ。

 しかし、仮にそのようなスゴ録が登場したとしても、デジタル放送番組を“おでかけ”する際はムーブになってしまうと予想される。つまり、コピーワンスの仕組みが変わらない以上、メモリースティックに番組を書き出したらHDDに録画ファイルを残しておくことはできない。後でテレビ視聴したいときや、DVDに残したいのなら、今回のようにチューナーと録画機が別々になっているほうが使いやすいケースもあり、また追加投資額も小さくて済む。「MSVR-A10」のようなシンプルな単体録画機にも十分な存在価値があると思う。

 デジタル放送の録画はなにかと面倒だ。ただ、だからといって単純に一体型を待ち続けるよりは、自分の用途や既存のAVシステムと照らし合わせ、ベストな組み合わせを考えてみることをオススメしたい。もちろん、将来のスゴ録にデジタルチューナーが複数搭載されたりすると、かなり事情が変わってくるのだけれど……。

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