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“香り”がムードを盛り上げる映画、4月22日公開

» 2006年04月11日 19時35分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 NTTコミュニケーションズは4月11日、松竹が配給するハリウッド映画「ニュー・ワールド」で、同社の「香り通信」システムを利用した“香り付き映画”の取り組みを行うと発表した。映画の上映中、シーンに合わせて調合された香りが館内を漂う仕組み。4月22日(公開初日)から、東京と大阪の一部映画館で実施する。

photo 映画のシーンに合わせて香りを発生させるアロマモジュール。6種類のアロマオイル(精油)を入れておくと、レシピにかかれた各オイルの配合比率に沿って調合し、香りを発生させる

 香り通信は、NTTコミュニケーションズが主にアロマテラピーあるいはその学習用として提供しているサービスだ(関連記事)。6種類のエッセンシャルオイル(精油)を入れたアロマモジュールをPCに接続すると、CoDenモールからダウンロードできる「香りレシピ」に従って香りを調合してくれる。

 映画館で使用するアロマモジュールも基本的には販売しているものと同一だが、映画館に持ち込めるよう、ポータブル化されたのがポイントだ。同社は、新たに「LAN-BOX」と呼ばれる香り配信用ネットワーク接続装置を開発。「香り制御サーバ」からダウンロードした「香りレシピ」および「配信スケジュール」をPCなしで実行できるようになった。

photo LAN-BOX(左)とスケジューリング画面。秒単位で香りの発生を制御できる
photo システム構成図。レシピをダウンロードする際はPCが必要だが、LAN-BOX内に一度取り込んでしまえば、ネットワークから切り離して利用できる

 「ニュー・ワールド」は、17世紀はじめのアメリカを舞台にしたラブ・ストーリー。ネイティブ・アメリカンの王の娘と、入植してきたイギリス人の悲恋を、新大陸の大自然とともに描き出している。脚本・監督は「シン・デッドライン」のテレンス・マリック。松竹で宣伝チーフプロデューサーを務める吉田直子氏は、「映像と音楽の美しさが特徴の映画なので、これに“香り”の美しさも加えたいと考えた。“これからの映画の楽しみ方”を実感してほしい」と話している。

 香り付きの映画は、過去にもいくつかの例がある。たとえば2005年末に公開された「チャーリーとチョコレート工場」では、一部劇場で上映中にチョコレートの香りを発生させて観客の気分を盛り上げた。ただし今回は、単に画面に登場するモノの香りではなく、シーンに合わせて観客の気分に作用するアロマが使われる。たとえば、映画が開始するとすぐに「WELCOME AROMA」としてシトラス系をメインにローズやフランキンセンスをブレンドしたアロマが発生。これは「明るい気持ちになりたいときや、挑戦してみたいことがあるとき」にオススメのレシピだ。上映開始と同時に、映画に対する期待を盛り上げる効果が期待できるという。

photo ニュー・ワールドでは、映画のシーンに合わせてアロマを7回発生させる

 ニュー・ワールドでは、このほかにも計7回、それぞれ数分間ずつアロマが発生する。香りレシピの作成を担当したJAA(日本アロマコーディネーター協会)認定アロマコーディネーターの中島ゆきえ氏は、「映画のシーンや感情の変化にマッチした香りの演出」と表現した。

 「ニュー・ワールド」は4月22日から全国の松竹系映画館で公開予定。このうち、香り付きで楽しめるのは東京の「サロンパス ルーブル丸の内」と大阪の「梅田ブルク7」の2館だ。いずれも館内後方の中央列にアロマモジュールを複数台設置した「アロマプレミアシート」を設け、一回の上映で30人ほどが香りによる演出を楽しめるようにする。実施期間は4月22日から5月5日まで。チケットは当日一般1800円、前売り1300円。なお、アロマプレミアシートを選択しても追加料金などは発生しない。

photo 「サロンパス ルーブル丸の内」の見取り図。後方にあるN、O、P列10〜20番(計33席)がアロマプレミアシートだ

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