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ワイドズームで他社との差別化を図る――「Caplio R4」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(2/4 ページ)

» 2006年04月14日 18時45分 公開
[永山昌克,ITmedia]

ダブルリトラクティング方式を開発

――最初のワイドズーム機「Caplio G4 wide」では28〜85ミリ相当、翌年の「Caplio RX」では28〜100ミリ相当、さらに「Caplio R1」では28〜135ミリ相当、そして「Caplio R3/R4」では28〜200ミリ相当と、テレ側がどんどん長くなっていますね。テレ側への拡張は市場のニーズですか?

福井氏: 主要な機種については独自にユーザー満足度調査を行い、他社モデルも含めた市場全体については調査会社などを通じて、常に動向を探っています。そうした中で「光学ズーム」や「手ブレ補正」への要望が高いことは以前からつかんでいました。といっても、大きなボディの高倍率ズーム機では意味がありません。あくまでスタイリッシュコンパクト機のジャンルの中で、より高倍率の製品を目指す必要があると感じています。

――コンパクトボディで手ブレ補正付きの光学7.1倍ズームを実現できた秘密は?

中平氏: とにかく薄型ボディを維持するという大前提があり、その上でテレ側200ミリ相当をどうやって実現するかが、開発スタッフに与えられたテーマでした。2004年のCaplio R1では、レンズ収納時にレンズ群の一部を鏡胴外に逃がし、ズームレンズのコンパクトを図る仕掛け「リトラクティングレンズシステム」によって、ワイド対応の光学4.8倍ズームと薄型ボディの両立を図りました。

 そして、さらに2段階にレンズに逃がす「ダブルリトラクティングレンズシステム」を新規開発し、Caplio R3/R4ではいっそう望遠化した光学7.1倍ズームを実現できました。手ブレ補正については、レンズを動かす方式ではなく、CCDを動かすシステムを独自に開発しました。

――他社の多くの手ブレ補正とは異なり、常時補正と撮影時補正の切り替えができませんね。

福井氏: Caplioシリーズは、バッテリー持久力に優れることもアピールポイントのひとつです。消費電力との兼ね合いから、手ブレ補正は撮影の瞬間に作動する方式を採用しました。Caplio R1/R2に比べて撮影可能枚数が減ってはいますが、それでもCaplio R3の約310枚、Caplio R3の約330枚は、それぞれ十分に満足できるレベルはキープしていると思います。

――Caplio R1/R2では単三形電池にも対応していましたが、Caplio R3/R4では使えませんね。

福井氏: 単三形電池が使えないことを残念に思われるユーザーの声もあり、ちょっと心苦しい部分です。ただ、それ以上に小型軽量ボディにメリットを感じてくださる意見も少なくありません。細かいことですが、Caplio R3/R4では付属充電器をコードレスタイプにして、ボディと合わせて手軽に充電器を持ち運べるようにしました。

――Caplio R3からCaplio R4への改良点は?

福井氏: CCDの画素数をアップしたほか、液晶モニターの高精細化とバッテリーの長寿命化を図りました。機能面では、カメラメモ、マイセッティング、帳票印刷の3つを追加しています。これらは、従来は業務用のソリューションモデルとして展開していた製品に載せていた機能です。

中平氏: 画質の傾向は基本的には変えていません。細かい部分では、手ブレ補正のレスポンスをブラッシュアップしたり、スポットAFの測距エリアを見直したり、ホワイトバランスの精度を向上させたりしています。

 最初にお話したように、Caplio R3の段階で6メガ化の計画があり、レンズや基盤などはその前提で作っていました。ただし、とはいっても単純にCCDを交換するだけではありません。CCDの駆動周波数が異なるため、それに合わせた調整も必要でした。個人的には、そこが特に苦労した部分です。

photo Caplio R4で撮影。ストロボをスローシンクロ発光させ、1/4秒の低速シャッターを使用。手持ちだったが、ストロボ光が届かない部分の手ブレは目立たない

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