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“CMのCM”のCMコラム(1/2 ページ)

» 2006年04月19日 16時03分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 顔がテレビで、しっぽがコンセント、赤いお尻はハート形……シュールな猿のキャラクター「コマーさる君」がテレビCMの宣伝をする「CMのCM」キャンペーンが始まってから、早8カ月が経過した。

 最初の頃は、「ここ、笑うところなんですけどぉ」と逆ギレする姿が、正直「なんだかなぁ」という感じだった。がんばり過ぎちゃってヒンシュクをかいそうなコマーさる君が、その数カ月前にデジタル放送をコピーワンスへ移行させた放送事業者と重なって見えたのかもしれない。あるいはインターネットや携帯電話の普及で「広告価値」に疑問を投げかけられ始めた業界の焦りを印象付けたのか。いずれにしても、筆者にとってコマーさる君の第一印象はあまり芳しいものではなかった。

 「CMのCM」キャンペーンは、民放各社が加盟する社団法人日本民間放送連盟が昨年8月に開始した。日本で初めてテレビCMが放送された8月28日を「テレビCMの日」として、テレビCMをもう一度見つめ直そうというキャンペーンだ。その背景には、CMになるとチャンネルを回す(この表現も古い)ザッピング文化や、CMを簡単に飛ばし見できる録画機の普及がある。「毎日目にすることで、あまりにも身近になり、CMへの興味が薄れてしまったのでは?」(キャンペーンサイトより)。

 確かに、テレビ(民放)を見ていても、その番組が広告収入だけで成り立っていることは忘れがちだ。たまにNHKの集金がくると「テレビってお金がかかるんだなぁ」と感じる程度で、普段はリモコンの「スキップ」ボタンを何のためらいもなく押している。

 しかし、だからといって広告効果が薄れているとは思わない。たとえば、先日gooリサーチが発表した「広告媒体の注目度に関する調査結果」では、依然としてテレビCMがダントツのトップ。PC向けサイトの飛躍が著しいとはいえ、まだ6〜7倍の注目度を確保している。

photo 出典はgooリサーチ。gooリサーチは、エヌ・ティ・ティ レゾナントと三菱総合研究所の提携による調査事業

 自分の視聴行動を顧みても、録画した番組でも目新しいCMはたいていチェックしている。DVDレコーダーのスキップボタンは、再生時間を最初に30秒間飛ばす設定になっているため、1度押しただけではCMをすべて飛ばすことにはならない。次のCMに移動するだけなので、見たことのないCMに当たったときは思わずリモコンの手を止める。

 もちろん見飽きたCMは飛ばすけれど、そのCMは告知という役割を既に果たしているわけだ。確かに昨年はあんな調査や、こんな試算がこぞって発表されたが、世論が極端に傾きがちであることはテレビ関係者が一番良く知っているハズ。必要以上に身構える必要はないだろう。

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