東芝のgigabeatシリーズといえば、iPodと並ぶHDDオーディオプレーヤーの先駆け的存在。フラッシュメモリタイプの「gigabeat P」も投入されたが、基本的にはHDDを活用したポータブルオーディオプレーヤーとして、さまざまなモデルチェンジと改良を重ねてきた。
新たに登場した「gigabeat S30/S60V」はOSにWindows Mobile Portable Media Center(PMC)を採用して操作インタフェースを一新したほか、シリーズ製品としては初めて動画再生に対応した。また、音質改善機能「H2Cテクノロジー」を搭載することで、音質の向上も狙ったモデルだ。
GfKマーケティングの販売ランキングデータを見ても明らかだが、ポータブルオーディオプレーヤーの市場においてはiPodシリーズの独り勝ち状態が続いている。“HDDオーディオの老舗”東芝からの新製品が市場へどれほどのインパクトを与えることができるのか、レビューを通じて探ってみた。なお、今回のレビュー機は試作機であることをお断りしておく。
新製品には30GバイトのHDDを搭載した「gigabeat S30」と、60GバイトのHDDとFMチューナーを搭載した「gigabeat S60V」が用意されているが、今回は上位機種のgigabeat S60Vを試用した。まずは外観をチェックしてみよう。
サイズは59.9(幅)×99.9(高さ)×16.2(厚さ)、重さは約140グラム(gigabeat S30は厚さ13.2ミリ、重さ約127グラム)。2005年10月に登場したgigabeat X30(レビュー)とほぼ同サイズ。2.4インチのカラー液晶と十字型の操作キーを備えるレイアウトもgigabeat X30と同様だ。
光沢のあるピアノブラックの表面、マットシルバーの背面、メッキ処理されたボタンの組み合わせはシンプルながらも美しい。十分に手のひらサイズといえる大きさであり、手にした際の収まりも悪くない。iPodの60Gバイトモデル(MA003J/A、MA147J/A)のサイズは61.8(幅)×103.5(高さ)×14(厚さ)ミリ/157グラムなので2ミリほど本製品の方が厚いが、携帯性に大きな差はないと言っていいだろう。
十字型の操作キーは、従来製品(gigabeat F/Xシリーズ)に搭載されていた感圧式センサー「プラスタッチ」から一般的なボタン式の「プラスボタン」に変更された。プラスタッチでは感圧式のメリットを利用して、「なぞる」というアクションで各種操作を行う仕組みが取り入れられていたが、ボタン式への変更でこれはなくなった。そのかわりとして、液晶下部に「戻る」と「スタート」のボタンが用意されている。
タッチプラスを利用した操作方法は慣れれば快適なのだが、同社独自の形式であり、賛否があったのは事実。Windows OSに近い操作感覚を携帯機器に持ち込むPMCを採用した以上、感圧式センサー(とそれを利用した操作インタフェース)に固執せず、一般的なボタン操作式としたのは正解に思える。
右側面には再生/一時停止、早送り、早戻し、ボリューム、電源の各ボタンが用意されている。ホールドスイッチだけは上側面に配置されている。この辺りの配置もgigabeat X30と変わらない。
液晶のサイズは2.4インチで、解像度はQVGA(320×240ピクセル)。やや写り込みが気になるものの、フォントのエッジもしっかりと表示され、クオリティは高い。本体カラーはピュアブラックのみだが、30Gバイトモデル(gigabeat S30)はピュアブラック/ピュアホワイト/クリムゾンレッドの3色が設定されている。
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