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フジテレビとチームラボBD、映像発信ポータル「ワッチミー!TV」を展開

» 2006年05月01日 21時14分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 フジテレビジョンとチームラボビジネスディベロップメント(以下、チームラボBD)は5月1日、映像発信ポータル「ワッチミー!TV」を運営する合弁会社「フジテレビラボLLC」を設立すると発表した。新会社の発足は5月中旬。7月にはβサイトの試験運用を開始し、10月に正式運用をスタートする予定だ。

 ワッチミー!TVは、個人がハンディムービーやデジカメ、カメラ付き携帯電話などで撮影した動画クリップを無料で発表できる動画ポータル。「映像ブログ」「オピニオン」といった“個人発信のメッセージ”をはじめ、旅行情報、商品情報といった“生活情報クリップ”、自主制作映画や音楽などの“インディーズエンターテイメント”といったページを設け、それぞれの映像クリップに対して視聴ユーザーの評価やコメントも付加できる。投稿ユーザー同士のコミュニケーション機能なども備える予定だ。

photo フジテレビ情報制作局長の太田秀昭氏

 「インターネットやムービーカメラなどの発達などにより、個人の映像表現が豊かになり、地上波テレビでも災害現場の映像やバラエティなどのなかでさまざまな役割を担うようになった。われわれは、テレビ局が持つコンテンツ制作能力とインターネットメディアの連携を目指す」(フジテレビジョン取締役情報制作局長の太田秀昭氏)。

 投稿ユーザーには、1人あたり100Mバイト程度のストレージが用意され、MPEG-4(mp4、3gpなど)の動画をアップロードできる。ただし、「映像倉庫にするつもりはない」(チームラボBDの森山雅勝社長)というように、保存できるのは、あくまでも発信を目的にした動画に限定。また一度に投稿可能な動画ファイルも容量(20Mバイト程度)や再生時間(1時間程度)によって制限される見込みだ。

photo チームラボBDの森山雅勝社長。チームラボBDは、トランスコスモスとチームラボが設立したインキュベーション会社

 一方、オリジナル編集ツールの提供や撮影方法の指南といった“テレビ局ならでは”のアプローチもサイトの特徴といえる。太田氏は「どんな撮り方をしたら良いか。動画ポータルを通じて映像のプロ(フジテレビ)が一般ユーザーやクリエイターの卵にノウハウやスキルを渡すことができる。というより“渡したい”という気持ちが強い」と話す。具体的な方法論には触れなかったが、「プレオープン時にはいくつかの例を見せられると思う」(同氏)。

 投稿された動画は、著作権上の問題や公序良俗に反していないかを厳密にチェックしたあと、フラッシュビデオ(flv)形式にエンコードして公開する。このため、アップから公開までは「リアルタイムにならないかもしれない」(森山氏)。公開された動画は、「FLASH PLAYER」があれば誰でも視聴可能。またチェックのワークフローが確立するという条件付きながら、年内をメドに個人のライブストリーミング放送も可能にする計画だ。

 サイト利用は原則無料。バナーやアフィリエイトといった広告収入によって運営する。森山氏によると、2010年度には利用者280万人、約11億円の広告売上げを見込んでいるという。

 フジテレビは、ワッチミー!TVを通じてマスメディアではリーチできないニッチなビジネスチャンスを検討するとともに、動画ポータルを映像クリエイターや各種のパフォーマーの“登竜門”にすると意気込む。太田氏は、「GyaOにせよ、第2日本テレビにせよ、従来の動画配信サイトは(プロが作成した)“アリモノ”を提供しているに過ぎない。ワッチミー!TVでは、無名の人々を発掘し、定着させる事業に信念を持って取り組む」と話している。


 新会社の資本金は1億円、資本準備金が3億円。フジテレビが2億4000万円、チームラボBDが1億6000万円を出資する。代表には、現フジテレビ情報制作局情報制作センター情報企画部の時澤正副部長が就任予定。5月1日に施行される新「会社法」で設立できるようになったLLC(Limited Liabillty Company)の形態を採用する予定で、フジテレビとしては初の社内ベンチャーとなる。

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