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目指せ! 一家に1台の家庭用プラネタリウム――セガトイズ「ホームスター」インタビュー(1/3 ページ)

» 2006年05月10日 14時23分 公開
[平賀洋一,ITmedia]

 セガトイズが昨年5月に発売した家庭用プラネタリウム「ホームスター」が人気だ。今年3月末には、出荷台数が10万台を超えたというリリースが発表されている。

 このホームスターには、画期的なプラネタリウム「メガスター」を個人で開発した大平貴之氏が共同開発者として名を連ねている。それまで業務用の設備でも数万個の星しか再現できなかったプラネタリウムと違い、メガスターは人の目でも識別できないほど細かな光によって、天の川をリアルに表示できるという。投影できる星の数は、500万個近く。まさに「メガ」なプラネタリウムだ。

 このメガスターのノウハウを投入した「ホームスター」について、セガトイズ 生活エンターテイメント研究所ゼネラルマネージャーの加藤武彦氏に話を聞いた。

photo セガトイズにて生活エンターテイメント研究所ゼネラルマネージャーを務める加藤武彦氏

何よりも自分が欲しかった家庭用プラネタリウム

――セガトイズで「家庭用プラネタリウム」を製品化しようと思われたのは、どういったいきさつからでしょうか。

加藤氏: まず、自分自身がそういう物が欲しかったというのがそもそもの始まりです。仕事が終わって家に帰る、そして寝室で横になっても眠れないことがありました。その時に天井を見ていたときに、この天井がなくなって満点の夜空を見ることができれば良いなと思ったんです。ただ、そんなことはできませんので、プラネタリウムで星空を天井に映し出し、寝る前に眺めることができればストレスも吹き飛ぶんじゃないかと考えました。

――家庭用プラネタリウムはアイディアグッズとして見かけますが、決して珍しい製品ではありませんよね。

加藤氏: そうです、製品としてはいくつもあります。その眠れない夜以降、家庭用プラネタリウムを何種類か買ってきて試して見ました。しかし、星の数が少なかったりぼやけていたり、星座だけが表示されたりと満足できるものが存在しない。当時から玩具の企画を担当していましたから「よそにないなら自社で作ろう」と。このときのアイディアが一番最初になります。

photo ホームスターの製品構成。本体と原板ソフト2枚、ACアダプタと電池ボックスが付属。このほかに説明書と、解説音声を収録した音楽CD、星空解説ハンドブックが用意される

「メガスター」大平貴之氏との出会い

――ホームスターは「メガスター」の大平貴之氏が共同開発者になっています。パートナーシップを前提に、家庭用プラネタリウムの製品化を発案されたのでしょうか。

加藤氏: 当時の家庭用プラネタリウムのアイディアは漠然としたもので、実際に製品にする術もなく、いつか機会があれば企画化しようという感じでした。その段階では、大平さんに付いては存じ上げませんでしたが、渋谷の東急文化会館の閉館イベントで個人が作ったプラネタリウムが人気になっている、という記事をネットで読んだんです。

 2003年6月になりますが、このニュースで大平さんとメガスターという存在を知りました。これまでとは桁違いの星の数を再現でき、天の川の中の1つ1つの星まで投影できる。こんな画期的なプラネタリウムを、個人で作ってしまう方であれば、自分が理想とする家庭用プラネタリウムを実現させてくれるかもしれない。そう考えて、早速、ご本人のサイトを通じて大平さんに連絡を取りました。

 この時、大平さんに出会わなければ「ホームスター」という製品は存在しなかったでしょうね。

――大平氏の作るプラネタリウムは、博物館やイベント向けの比較的規模の大きいものです。家庭用となると制約なども大きくなるのではないでしょうか。

加藤氏: まず我々が大平さんに伝えたのは「あくまで家庭用で、本物と見紛う星空を投影するプラネタリウム」のコンセプトでした。大平さんの作るメガスターは大掛かりなものですが、作るきっかけとなったのは本物と同じような星空を自宅で見たいという気持ちだったそうです。形は違いますが、ほぼ同じコンセプトなので「やってみましょう」と承諾をいただきました。

photo 操作部。左からタイマースイッチ、夜空を回転させる日周運動機能スイッチ、ランダムに流れ星を投影する流星機能スイッチ、電源。日周運動や流れ星機能は、加藤さんがどうしても外せないと感じた機能とのこと
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