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JASRAC、2005年度の徴収金額は2年連続の1100億円越え

» 2006年05月17日 17時12分 公開
[渡邊宏,ITmedia]

 日本音楽著作権協会(JASRAC)は5月17日、定例会見を開催し、2005年度の事業内容を報告するとともに、ネットワーク上で音楽を利用する際の著作権処理を簡素化し、利用を促進していく方針を明らかにした。

photo JASRAC 理事長の吉田茂氏

 2005年度にJASRACが徴収した使用料は、前年度比102.5%の1135億8000万円で、種別に見ると、最も金額が高いのはオーディオCD(260億4600万円)。携帯電話向けの着メロは前年度比78.5%とマイナスを記録したが、着うた(同220.1%)が大きな伸びを見せたほか、映画と放送、ビデオグラム(DVDビデオ、ビデオカセットなど)からの使用料が148.2%、115.5%、105.8%とそれぞれ伸びを見せ、徴収金額は2年連続の1100億円越えとなった。分配金額は前年度比106%の1123億円9000万円。

 「これまで徴収金額が増えてきたのは着メロが牽引してきたからだが、ここに来て伸びが衰えている。ネットでの音楽利用自体は縮小していないと思うが、ユーザーの使い方が変化しているのではないだろうか。楽観視はできない状態だ」。常務理事の加藤衛氏は今後の徴収額見込みについて、「厳しい」との見解を示す。

 ネットワーク上での楽曲処理については、2005年から当初1年間の予定で暫定実施されていたストリーミング映像における料率を変更せず、そのまま継続することが確認された。また、ポッドキャスティングについては、1曲ずつではなく番組単位で楽曲利用を許諾する仕組みが「6月中、遅くても7月」(常任理事 菅原瑞夫氏)にも導入されることが明らかにされた。また、聞き放題を可能にするサブスクリプション型サービスについても、対応すべく料率を検討中であるという。

 私的録音録画補償金制度についての審議が2008年をめどにする再審議に入ったほか、従来50年であった著作権保護期間を70年に延長するかしないかという保護期間延長問題など、著作権者と利用者のバランスをどのようにとっていくかを考える議論が各所で行われているが、協会理事長の吉田茂氏は“創作者の利益を守ることが最終的には消費者の利益につながる”という従来の理論を重ねて強調した。

 「HDD/フラッシュメモリを搭載したデジタルオーディオプレーヤーへの補償金制度が先送りにされたり、CD再販の見直し議論が起こってきたり、著作権保護期間がなかなか延長されないことなど、利用者の利益が優先される風潮、意見が多く見られる。JASRACは消費者・音楽愛好家と敵対するわけではないが、創作者の利益を守ることが、消費者の利益にもつながる。そうした創造のサイクルが循環していくことが望ましい」(理事長 吉田茂氏)

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