巨額の製作費の割には儲けが少ないと言われてきたファンタジー映画だが、「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」の大ヒットにより、一躍ハリウッドのドル箱ジャンルへと成長。CGなど目覚しい技術の発展もあって、いまや子供から大人まで楽しめる人気ジャンルといえる。そんな中、「ロード・オブ・ザ・リング」の原作「指輪物語」と双璧をなすファンタジー文学の古典「ナルニア国物語/第1章:ライオンと魔女」がディズニー製作で映像化された。
ドイツ軍の空爆が激化する第二次大戦下のイギリス。ペベンシー家の4人の兄妹ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーは、ロンドンの空襲を逃れるため、田舎町に住むカーク教授の家へと疎開することに。古めかしくも広大なその屋敷は、子供たちにとって絶好の遊び場所だった。好奇心旺盛な末っ子のルーシーが、かくれんぼをしているうちに、空き部屋で荘厳な衣装だんすを見つける。扉を開けて中に入ると、そこは雪に覆われた魔法の国ナルニアだった。白銀の世界に迷い込んだ彼女は、半神半獣のフォーン・タムナスさんと出会う。かつて偉大なる王アスランが作ったこの素晴らしい国は、美しく冷酷な白い魔女によって、100年もの間、春の訪れない冬の世界に閉ざされていたのだ。翌日、今度は4人で衣装だんすを通り抜け、タムナスさんを訪ねるが……。
イギリスの作家兼宗教学者C.S.ルイスが1950年から7年の歳月を費やして完成させた全7巻からなるファンタジー・シリーズは、世界中でなんと8500万部以上売り上げた永遠のベストセラー。今回は第1巻目の「ライオンと魔女」を映画化。
出演はカーク教授役に「アイリス」でアカデミー賞助演男優賞を受賞したジム・ブロードベント、白い魔女役に「オルランド」のティルダ・スウィントンなど実力派俳優が結集。白い魔女の呪いからナルニアを解き放つ救世主=4人の子供たちのキャスティングは、あえて有名スターを起用せずに、ナルニア国という世界観の再現にこだわったという。そのため1年半もの間、オーディションを繰り返し、ほぼ新人に等しいながらも、それぞれ適役なキャスティングが実現。特に末娘のルーシーが愛らしい。そしてもうひとり(?)の主役がライオンのアスラン。言葉を話すライオン、どこかで聞いたことがあると思いきや、吹き替えを担当したのは「スター・ウォーズ」「バットマン ビギンズ」のリーアム・ニーソン。王の貫禄十分の低音ボイスをご堪能あれ。
監督、製作、脚本を一手にこなすのは、本作で実写映画デビューを飾ったアンドリュー・アダムソン。とはいえ、彼は初監督作の「シュレック」でいきなりアカデミー賞長編アニメ賞を受賞した俊英なのだ。VFX&SFXにはリズム&ヒューズ、ソニーピクチャーズ・イメージワークス、ILMというメジャー3大SFX社が参加し、合計1400にも及ぶ驚異のCGI映像を誕生させた。特にラストのアスラン軍5000VS白い魔女軍1万5000の激突シーンは大興奮! スぺクタクルシーンはもちろん、ビーバーやアスランなどクリーチャーたちの生き生きとした表情は限りなくリアルで一見の価値あり。
DVDは6時間に及ぶ映像特典が付いた2枚組。音声解説は監督と4人の子役によるキャストバージョンと、監督と製作のマーク・ジョンソン、プロダクション・デザインのロジャー・フォードによるスタッフバージョンの2種類を収録。映像特典は映画化に至るまでの関係者の話や子役のキャスティング、クリーチャーについてのこだわりや製作過程など豪華な内容。なお初回限定仕様として金銀赤箔押しエンボス加工を施した豪華パッケージに、ブックレット、ポストカード、ブックマーク、地図を同梱している。
ストーリー展開といいキャラクターといい、原作に忠実で、熱心な読者を納得させる仕上がりだが、原作を読んでいない方も勧善懲悪の王道ファンタジーなので、異世界を旅するような醍醐味を存分に味わえる。ディズニー製作だけに、家族そろって楽しめるのも嬉しいところ。世界での記録的ヒットを受け、第2章「カスピアン王子の角笛」もゴーサインがでた。まずはこの第1章でイマジネーションあふれる空想世界へと踏み出そう! 「モンスターズ・インク」同様に、魔法のドアが家にあったら、なんてステキな妄想が膨らむかも……。
関連サイト:http://www.disney.co.jp/movies/narnia/shell_content.html(公式サイト)
|
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR