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レスキューロボット「Hibiscus」を操縦してきましたっぽいかもしれない(2/2 ページ)

» 2006年06月05日 23時08分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]
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 このメインクローラーの改良は非常に大きな効果を上げた。制作途中で、まずメインクローラーだけの走行実験をしたところ、相当の瓦礫でもそれだけでどんどん乗り越えてしまうのだそうだ。だからHibiscusのフリップアームは、それで動くというものではなく、ふんばったり姿勢を変えたりする文字通りの「腕」なのだそうだ。

 では、デモの様子を動画で紹介しよう。操縦は千葉工業大学2年の桐林星河さん。解説の音声は小柳先生。

photo でたらめに積み上げたブロックの山をHibiscusが乗り越えて進む(動画、MPEG-1/2.7Mバイト)。45秒ほどで通過した
photo おなじところを03が挑む(動画、MPEG-1/2.9Mバイト)。フリップアームを駆使しないと進めない。動画は途中までだが、乗り越えるまでには2分10秒かかった
photo Hibiscusの帰り道。フリップアームを全く使っていない(動画、MPEG-1/1.5Mバイト
photo Hibiscusが、滑りやすい砂利道から瓦礫にいきなり上った。さすがにフリップアームが活躍する(動画、MPEG-1/2.9Mバイト
photo 同じところを03が挑んだのだが、ブロックがボディ前面に引っかかってしまい、スタックしてしまった(動画、MPEG-1/2.9Mバイト)。

 さて、発表会終了後、Hibiscusの操縦をやらせてもらった。本当はマシンそのものは見ないで、搭載されたカメラ画像だけで操縦しなきゃいけないんだけど、今回は目でマシンを見ての操縦。ラジコン気分だ。

 操作はプレステ型のゲームパッドを使う。前進後退、左右旋回は、アナログジョイスティックをただ傾ければ、メインクローラーの左右がそれぞれ動くようになっている*2。簡単だ。ほんとに、これで瓦礫の山をどんどん上って行くのだ。

 でも、4つのフリップアームは自分で操作しなければいけない。ゲームパッド側面のボタン(L1、L2、R1、R2のこと)がそれぞれのアームに対応しているので、ボタンを押しながらもうひとつのジョイスティックを動かすと対応したアームが動くという仕組みだ。これはさすがに、とっさにはどうすればいいかわからない。動けなくなったときに、どのアームをどう動かせば乗り越えることができるのかは素人にはわからないのだ。

photo 操作はプレステ型のゲームパッドを使う

 そこで、いまこれを自動化する研究が進められている。大雑把に言って、これは2つの方法からなる。1つめは、モーターにかかる負荷をモニターして、過大な負荷がかかったら、それに応じてアームを動かすというもの。かなりの瓦礫まではこれで乗り越えられるのだそうだ。それでもだめだと2つめのもっとインテリジェントな方法になる。カメラと外界センサーから障害物の高さや形状を判断して、アームはそれを乗り越えるための動きをするというものだ。この動きは熟練者があらかじめモーションを作っておくことになる。ただ、瓦礫の高さはいろいろあるので、それをパラメータとして与えられるようなモーションだ。

 これがうまくいくと、1本のジョイスティックをいきたい方向にいきたい速度分傾ければ、環境はロボットが判断してそっちに進むということができるようになる。わたしでも操縦できるというわけだ。これは今年度中の完成を目指しているそうなので、できあがったらまた操縦させてもらいに行きたい*3


*2現バージョンは、機械保護のために、操作してから動くまでに1秒くらいのタイムラグをわざといれてあったのだけど、これは実際の運用では外れる

*3ところで、今回わたしが操縦したらすぐにクローラーが外れてしまってびっくりしたのだけど、いまは開発用にわざと外れやすく作ってあったのだそうだ。桐林さんは、そのへんをわかって操縦したのだね

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