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高感度によって失敗写真をなくす――「FinePix F30」の開発者に聞く永山昌克インタビュー連載(2/3 ページ)

» 2006年06月15日 17時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

高感度の低ノイズ化と発色の改善

――ISO3200を実現できた技術のポイントは何でしょうか?

永嶋氏: FinePix F30に搭載した「スーパーCCDハニカムVI HR」は、従来からフォトダイオードを改良し、マイクロレンズの材質や形状を変更することで、集光率を向上させました。またCCD出力アンプのノイズを低減し、撮像素子から出力されるデータそのものを明るくし、低ノイズにしています。八角形のフォトダイオードをハニカム状に配置するCCDの基本構造に大きな変更はありませんが、各部分をブラッシュアップしてISO3200が可能になったのです。

 さらに、CCDから得たデータを処理するエンジンに改良を加え、より低ノイズで色再現性に優れた「リアルフォトエンジンII」を搭載しました。従来に比べて、同じ感度で比べた場合のノイズが減ったことはもちろんですが、加えて低照度時でも発色が悪くならないように改善を図っています。

――個人的には、FinePix F30のISO3200の画質はノイズを消しすぎている、絵を作りすぎている印象も多少感じますが。

岡本氏: ノイズを消すことと、解像感を維持することはトレードオフの関係にあり、そのバランスは難しいところです。FinePix F30のISO800や1600は、解像感をかなり維持できているはずです。ISO3200についてはノイズリダクションが強い分、解像面はやや厳しいかもしれませんが、印刷した場合にできるだけ美しい画質になるようにチューニングしています。ユーザー層や製品として位置付けを考慮し、現時点で最も好ましいと判断した画質です。

photo iフラッシュなどの制御系の開発を担当した富士写真フイルム R&D統括本部 電子映像商品開発センター 岡本訓氏
photo ISO1600で撮影。夕暮れの街並みを車窓からスナップしても、ブレないのがありがたい

――撮った画像をプリントして楽しむ使い方を重視していますか?

杉谷氏: デジカメには様々な楽しみ方があり、新しい使い方もどんどん広がっています。ただ、写真は印刷して残したいと考える人は、まだまだ大勢います。当社としては、そのニーズに応えるためDPEショップでの「お店プリント」を積極的に展開しています。高画質で耐久性にも優れた印画紙仕上げのプリントを味わっていただきたいですね。

――FinePix F30の1/1.7インチのCCDでは、このボディサイズが限界でしょうか? あるいは1/2.5インチCCDを搭載した「FinePix Z」シリーズで、FinePix F30と同等の画質や感度を実現することは難しいですか?

永嶋氏: バッテリー容量を減らしたり、レンズの性能を落としたりすれば、ボディ全体をよりコンパクトにすることは可能かもしれません。しかし当社としては、画質やバッテリー寿命を下げず、全体のバランスを考えてこの内容に仕上げました。

 画質や高感度をより重視する方にはFinePix F30を、画質や感度も大切ですが、携帯性やデザイン性によりこだわる方にはFinePix Z3をそれぞれお勧めします。今後さらに進化し、1/2.5インチCCDで今の1/1.7インチCCDに匹敵する画質を実現できたとすれば、その時は1/1.7インチCCDの画質はいっそうよくなります。

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