ITmedia NEWS >

いよいよ登場したHD DVDレコーダー、東芝「RD-A1」ファーストインプレッション(2/3 ページ)

» 2006年06月22日 15時56分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 一方、HD DVD再生機能はHD-XA1とほぼ同じだ。新音声フォーマットのDolby Digital Plusは、HDMI出力あるいはアナログ5.1チャンネル出力が可能なほか、デジタル音声端子にDTS5.1チャンネル音声として再エンコードしながらの出力もできる。

 ただしロスレス圧縮オーディオのDolby True HD音声に関してアナログ2チャンネルでの出力しかサポートせず、同じくロスレス圧縮オーディオフォーマットのDTS-HD Master Audioも、DTSコア(フルレートのDTS 5.1音声)のみの出力となるなどの制限もHD-XA1から引き継いでいる。

 これら新オーディオフォーマットのサポートに関しては、HD-XA1も最初のファームウェアアップデートでDTS再エンコードの音質改善が図られたが、Dolby True HDに関しても5.1チャンネル音声のHDMIリニアPCM音声での出力、あるいはアナログ音声としての出力をサポートすべく、ファームウェアアップデートを計画しているようだ。関係者によると、すでにテスト用のファームウェアは東芝社内で動作しているという。

 このようにHD DVD再生機能に関して、HD-XA1と同等の機能となっているRD-A1だが、しかしその出力画像、音声の品質は、一歩も二歩も抜けだし、レコーダーとしては異例とも言える高品質に達している。

 映像出力系は、放送・録画再生系の映像ストリーム、HD DVD/DVD再生の映像ストリームともに専用回路を抜けた後、パイオニアの映像処理チップ「VQE9」に渡される。ここでSD映像のI/P処理などを行った後、アンカーベイテクノロジー製のビデオプロセッサに引き渡され、そこでハイビジョン映像のI/P処理や出力映像フォーマットへの拡大・縮小処理が行われる仕組みだ。いずれもハイエンドのプレーヤーや単体ビデオプロセッサでも採用されているチップである。

photo 映像処理系のブロックダイヤグラム
photo EPG画面

 このためHD DVDの出力が(内部で2-3プルダウン処理を行うことで)1080Pに対応するほか、DVD映像も1080Pへのアップコンバートを行える。加えてスケーリング処理プロセッサが変更されたことで、HD-XA1よりも数段、精細感のある緻密なDVD再生映像を得られるようになった。アナログ映像にも力が入っており、14ビット297MHzの高速ビデオDACを搭載。ハイビジョン映像を4倍オーバーサンプリングする。

 一方、音声出力もすべての音声ストリームを24ビット高精度サンプリングレートコンバータを通して24ビット192kHzに変換してからDAC処理しているという。アナログ音声は専用DACボードを通じてアナログ化される。可聴帯域から離れた場所にデジタルノイズフィルタを入れられるため、音質面で有利だろう。

 もっとも、こうした映像クオリティ、音声クオリティは、デバイスだけで達成されるものではない。HD DVDレコーダーとしてハイエンドにふさわしいコストをかけた1号機ならではの“作り”が、RD-A1の本質的な魅力となる。

驚くほどのハイエンド構成のその次は?

 “見た目で驚きますよ”とは、RD-A1発表直前の東芝関係者の話だったが、確かにRD-A1は筐体デザインからしてハイエンドを目指した製品だ。一般的な、さほど画質や音質にこだわらないユーザーには、単にアルミパネルで飾り付けたレコーダーにしか見えないだろうが、その中身は実にまじめに品質を追求している。

 筐体のフレームは剛性の高い1ミリ圧スチール板でできており、また内部を上下2段に分離して、さらに強度を追求している。複雑な2段構成のフレームの四隅に、アルミダイキャスト製の支柱(見た目には太い1本柱に見えるが、実際の支柱は1/4にカットした形状をしている)を配置。上部のキャップとスパイク風のインシュレーターはアルミ削りだしだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.