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HD DVD搭載の「HDDレコーダー」として登場した「RD-A1」(2/2 ページ)

» 2006年06月22日 19時08分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 10bit/54MHz駆動の3D Y/C分離回路でアナログ映像の高品位な映像を目指したほか、主信号処理とデジタルチューナー制御を行うエンジン「RDエンジンHD」はHD DVD対応版にバージョンアップされた。また、アンカー・ベイ・テクノロジーのアップスケーラで1080P出力を可能としたほか、アナログ映像出力部には14bit/297MHzという高速なビデオエンコーダを搭載し、4倍のオーバーサンプリングを行うことで帯域外ノイズを追放した。

 音声についても、レコーダーとしては初というフルタイム24bit/192kHz処理回路を搭載。マスタークロックも低ジッタの専用クリスタル発振器で生成されている。2ch再生時には、内蔵する4つのDACをパラレル駆動する「メガ・レゾリューション・パラレルDAC方式」によって、120dB以上のダイナミックレンジを実現した。D/Aコンバータはアナログ・デバイセズのAD1955を搭載する。

photophoto 映像処理のダイヤグラム(左)、音声はフルタイム24bit/192kHz処理(右)

 本体シャーシは1ミリ厚の鋼板によるメインフレームとサブフレームのデュアル構造。四方にはアルミ削りだしの支柱が配置されており、古代の神殿のようなフォルムを作り出している。ローノイズ設計の電源や非磁性ステンレス製リアパネルなども備える。リモコンはHD-XA1にセットされたオートセンサー付きシアターライトタイプではなく、RDシリーズを踏襲した一般的なタイプが組み合わされている。

photophoto サブフレームにマウントされているHD DVD記録再生回路(左)、リモコンはRDシリーズでおなじみのデザイン(右)

あくまでも、HD DVD搭載の「HDDレコーダー」

photo 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏

 製品コンセプトを説明した藤井氏は、地上デジタルの普及により、次世代DVD製品への移行が現実味を帯びてきた今こそが、HD DVDにとって普及のチャンスであるという従来の主張を繰り返す。2008年には既存のDVDとHD DVDが金額ベースでは逆転するだろうとも言う。

 RD-A1の企画意図については「プレーヤーとレコーダーの本質は異なっているのではと考えた。プレーヤーはコンテンツプロバイダーとの共生、レコーダーはHDコンテンツをHDDに記録することがレコーダーの基本コンセプトだ」と述べ、HDコンテンツが主流となる時代にはプレーヤーとレコーダーの位置づけを見直す必要があるという。

 「RD-A1は、HD DVDレコーダーではなく、あくまでも“HD DVD搭載のHDDレコーダー”として発表したいと思う」(藤井氏)

 しかし、藤井氏はすべてをHDDだけに保存することを理想とするわけではない。「HDDがあればメディアは不要だろうか? そうは思わない。画面が美しくなればなるほど、“保存する”ことへの需要が高まるはず。HD映像が主流となる時代では、HDDの大容量化とディスクメディアのHD対応(大容量化)が欠かせない」(藤井氏)

photo HD時代はプレーヤーとレコーダーの位置づけが変化する、と藤井氏は主張する

 HD DVDプレーヤー「HD-XA1」は低価格(廉価版のHD-A1は499.99ドル)を実現するため犠牲にせざるを得なかった部分もあるというが、本製品では「非常に気合いの入った、これぞマニアの人でも楽しんでもらえる製品」(デジタルメディアネットワーク社 デジタルAV事業部 DAV商品企画部 部長 伊藤眞一氏)と高級品志向を貫いたため、39万9800円という価格となった。

 「長嶋ファンなのでどこかに“3”を入れたかったのと(笑)、すわりのいい価格を考えたら39万9800円という価格になった。本来はSEDと組み合わせて提案すべきレベルの製品で、100万円で売っても構わないのでは、という意見もあった。しかし、REGZAと一緒に購入して欲しいという思いから、この価格になった思って欲しい」

 現在は記録型HD DVDを搭載したレコーダーは本製品のみで、普及価格帯製品も含めたバリエーションモデルの投入は未定となっている。年末商戦でラインアップを拡大するかどうかも未定だが、藤井氏は「RD-A1以上の価格の製品を(年末に)投入するつもりはない」と当面はフラグシップモデルとして位置づけていく意向を示した。

photo ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンの野端正人氏(マーケティングディレクター)

 HD DVDのパッケージソフトについては、ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンの野端正人氏(マーケティングディレクター)から、「ボーン・スプレマシー」「アポロ13」「ジャーヘッド」「セレニティー」「DOOM」「ヴァン・ヘルシング」の6タイトルを今秋にHD DVDソフトとして投入する予定であることが発表された。「DVDはかなり普及してしまっており、ハードウェアの進化に期待する。まずは6タイトルだが今後も定期的にタイトル数を拡大していきたい」(野端氏)

 ユニバーサルからのタイトルのほか、「オリバー・ツイスト」(ポニーキャニオン)、「戦場のピアニスト」「世界で一番パパが好き!」「マシニスト」「ギフト」「火山高」(アミューズソフトエンタテインメント)、「ケータイ刑事 THE MOVIE」(ハピネット)、「Virtual trip HAWAII」「Virtual trip THITI」「Virtual trip music edition」(ポニーキャニオン)などのソフトが新たに発売されることが明らかにされた。

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