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ロボットを携えた“国際救助隊”、「IRS-U」の訓練に密着っぽいかもしれない(2/3 ページ)

» 2006年06月27日 10時11分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 IRS-Uが現場に到着したとき、地下街の入り口には被災者が倒れていた。まだ意識はあるが、めまい、吐き気、嘔吐を訴えている*2。状況からNBCテロが疑われる。隊員各自の体調の確認が行われ、もし異常が感じられた場合には「機材を捨てて逃げる」ということが指示される。

photo 被災者役の人を搬送する

 まず、レスキューコミュニケータによる音声モニターを行う。隊長の「サイレント!」のかけ声で、隊員は一斉に黙る。音声による情報がないことが確認されたところで、「サイレント解除」。

 助けを呼ぶ声がなかったということは、要救助者がいないか、あるいは声が出せない状況になっているかのどちらかだ。レスキューロボットで内部検索を開始する。

 今回使われたロボットは、筑波大学坪内研究室の「ACROS(アクロス)」と千葉工業大学未来ロボット技術センター(小柳英次副所長)の「03」だ(ゼロスリー)*3

photo 「ACROS」。広角カメラ、走査型レーザー距離計を搭載
photo 「03」。Hibiscusには負けるが、これも高い走破能力をもっている

 当初は「03」ではなく、「Hibiscus」(記事参照)が使われる予定だったのだけど、「Hibiscus」はドイツで開催されたロボカップ世界大会から帰って来たばかりなのだ。だから、IRS-Uの人たちは十分練習ができていない。旧タイプの「03」が使われることとなった。

 最初に「ACROS」、少しおいて「03」が地下街に入って行く。入り口には扉の段差があるのだけど、それは平気で乗り越える。

 操縦はロボットから送られてくる画像を見ながらの無線操縦だ。あらかじめ入手されていた地下街の地図を見ながら、1店1店チェックして行く。ロボットの視点で見ながらの操縦というのは結構難しいのだけど、かなり上手に操っていた(わたしなら、右と左の区別がつかなくなるところだ)。

photo

 廊下になにかボンベらしいものが転がっているのが見える。「ボンベらしきものを発見」という報告がされるけど、まずは要救助者の検索が先だ。ボンベらしきものの場所を記憶して、部屋の検索を続ける。


*2今回の訓練では場所も狭かったので、被災者役の人は一人しかいなかったのだけど、実際にはたくさんいるのだろう

*3「03」は小柳先生が去年まで在籍していた横浜桐蔭大学で作られたもの

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