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“この夏オススメ”の大画面テレビ麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(3/4 ページ)

» 2006年06月30日 23時30分 公開
[西坂真人,ITmedia]

――HDDを内蔵する日立のWoooも話題性がありますね。

麻倉氏: 日立のオススメは「W42P-HR9000」。今回はパネルを変えてきて、縦方向の画素数が1024本から1080本になりましたが、その効果は出ています。また色再現性、特に赤を含めた肌色の再現性が非常によくなりました。もともと日立のプラズマは明るい傾向にふることがあったのですが、今回は黒の締まりも感じられるようになりました。いっとき、松下に押されていた時期もありましたが、日立らしい絵のキャラクターを取り戻した感じですね。

photo 日立Wooo「W42P-HR9000」(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

麻倉氏: さらにHDDを内蔵することで、ストレスを感じさせずにテレビを観る楽しさを提案してくれました。これは他社にない差別化要因として、日立の強みですね。なにがなんでも画質コンシャスというユーザーならはパイオニアがいいのですが、テレビを楽しむという一般的な使い方では日立の方がオススメです。

液晶テレビのオススメは?

――続いて液晶テレビですが、市場ではソニーBRAVIAとシャープAQUOSが激しいシェア争いを繰り広げてますね。

麻倉氏: ソニーはBRAVIAという新ブランドを立ち上げて、画素型、それも液晶で生きていくんだという意志をユーザーにアピールしました。ブラウン管時代からのWEGAブランドを一掃し、このBRAVIAに一本化したことで、ソニーの強みが出てきましたね。もともとソニーにはトリニトロンで培われた画作りのノウハウがあるわけで、それに加えてS-LCDという液晶パネルの生産体制が整ったことで供給問題も解決したというのが大きいですね。

 パネルの供給問題と画作りというのは実は密接な関係があって、採用するパネルが分かっていれば、生産前から徹底的に画作りを追い込んでいけるのですが、パネルがどこのどんなものが採用されるかが分からないと、すべて汎用的に作っていかなくてはなりません。つまり徹底したつくりこみが難しくなりますね。自社で生産拠点を抱えるメリットがここにあるのです。

photo ソニーBRAVIA「KDL-46X1000」(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

麻倉氏: そのメリットを最大限に生かしたのが、BRAVIAのXシリーズですね。「KDL-40X1000」「KDL-46X1000」といったハイエンド機は、ソニーらしさが良く出た製品に仕上がっています。ただし、ハイエンド機に比べて普及機の画質は困ったものです。これがかつての栄光のソニーの映像なのかと思うぐらいです。強みを生かして全体のレベルが上がればよかったのですが、まだそこまで達していません。そんな製品をラインアップしなければならないというのは、何が何でも市場シェアが欲しかったんでしょうね。

――液晶のもう一方の雄、シャープはどうでしょうか。

麻倉氏: ここ最近のシャープを見ていると、画作りが変わってきたな、という感じがします。特に顕著なのが、フルHD対応の「LC-45BE1W」「LC-37BE1W」。シャープはもともと、応答速度やコントラスト比など数値的なアピールはありましたが、それがなかなか画質に反映していなかった嫌いがありました。ハイコントラスト志向ゆえに、反面どこか破綻するところが出てきてしまう。そのへんが、今回の新製品では整然とした流れが出てきて、破綻が比較的少なくなってきています。細かい改良が施されているなというのを感じます。ただし、シャープはこの程度の画質改善で満足していてはだめなわけで、ナンバーワンメーカーにふさわしい圧倒的な画質を期待したいですね。

photo “フルスペックハイビジョン”シャープAQUOSシリーズ(撮影協力:ビックカメラ有楽町店)

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