デザインについては、ソニー製品ということで発表前には奇抜で斬新な形も想像したが、実際にはコニカミノルタαシリーズのテイストを継承した生真面目なものだった。勝手な期待をした分もの足りなさは残るが、一眼レフ機といえば誰もが連想するオーソドックスなカメラスタイルであり、ビギナーにもとっつきやすい。
樹脂外装にあまり高級感がなく、ぱこんぱこんと鳴る少々安っぽいシャッター音まで受け継いだのは残念なところ。約0.9秒の起動時間やてきぱきと作動するAFのレスポンスは良好だ。ファインダーはルーフミラー式ながらまずまずの見やすさで、背面のボタン操作で9点のAFエリアをダイレクトに選択できる。
液晶モニターには2.5型のクリアフォト液晶を搭載する。ナビゲーションディスプレイ機能によって、各種の撮影情報を液晶上に常に表示でき、カメラの状態を一目で把握できるのは便利だ。
上部のモードダイヤルではオートからマニュアルまで11の露出モードを選択でき、グリップ部のコントロールダイヤルでは絞りやシャッター速度を調整できる。ISO感度やホワイトバランス、フォーカスモード、測光方式などの主要機能は、左上のファンクションダイヤルとファンクションボタンから呼び出し、背面十字キーを押して切り替える。慣れればすんなり扱える操作系だ。
撮像素子は、実売10万円前後のデジタル一眼レフ機としては最も高画素な有効1020万画素CCDで、画像処理には新開発のエンジン「Bionz(ビオンズ)」を搭載する。画質のカスタマイズとしては、画像仕上げ機能に対応。初期設定のスタンダードのほか、ビビッドやポートレート、風景、夕景などの8モードを選ぶことで、発色などの傾向を素早く変更でき、さらに各モードのコントラスト/彩度/シャープネスを微調整することも可能だ。
今回の試用では、画像仕上げのスタンダードを選び、ほとんどのカットをオートホワイトバランスで撮影したが、濁りのないクリアな色再現を確認できた。800万画素クラスに比べて圧倒的な差とはいえないが、そこそこの解像感の高さもある。コンパクトデジカメからステップアップするユーザーにとって1000万画素オーバーという数字のインパクトは大きいだろう。
一眼レフ機では、ボディだけでなく魅力的なレンズのラインアップが揃っているかも重要なポイントだが、その点も万全だ。キット販売もされる標準ズームと望遠ズームのほか、広角ズーム、高倍率ズーム、マクロレンズ、単焦点レンズなど10数本の交換レンズが順次発売される。10月以降には、マニア心をくすぐる「カールツァイス」ブランドの高級レンズも登場する。
実用的すぎて華や色気がないα100のデザインは不満だが、デジタル一眼レフ機の市場に参入する第一弾としては無難で手堅い選択だと思う。斬新なモデルをいきなり投入する松下電器産業とは対照的である。
すでに他のメーカーのデジタル一眼レフ機を使っているユーザーが買い替えや買い増しをしたくなるほどのアピールは感じない。だが、これから一眼レフ機を始めようと思う人には、従来のカメラメーカーの製品に加え、じっくりと比較検討する選択肢が増えたことは確かだ。また、すでにαレンズの資産を持っている人にとって救世主になったことは言うまでもない。
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