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ロボットで人間を救え! レスキューロボットコンテストっぽいかもしれない(2/3 ページ)

» 2006年07月11日 10時53分 公開
[こばやしゆたか,ITmedia]

 日本では阪神淡路大震災後に盛り上がった「ロボットによるレスキュー」という考え方も、時間が経つにつれてだんだん薄れてしまう危険性がある。それを防ぐには一般の人にわかりやすいレスキューのイベントを行っていくことも必要だ。レスキューロボットコンテストの考え方はこのようなものだ*2

 また、これは「人間を機械で扱う」ということを考えるきっかけにもなる。「優しく」ということが求められるのだ。実際のレスキューの現場でロボットが人間を直接救助することは、今後もおそらくないであろう。でも、福祉の現場などではロボットやパワードスーツといった機械で人間にふれることが出てきそうだ。「優しく」はこのような場面で役に立つ考え方だ。

 これをサポートするのがコンテストの影の主役のダミー人形の「ダミヤン」だ*3。身長29センチ、体重850グラムのこの人形には、体表センサ、引っ張りセンサ、加速度センサを内蔵。手荒な扱いを受けるとそれを感知してパワーを失っていく(ヒットポイントが減ると言った方がわかりやすいかな)。優しく扱ってあげないといけない。

photo 瓦礫に埋まったダミヤン

 コンテストのもうひとつの特徴は、6分の1スケールなので、比較的参加しやすいということだ。Robocupレスキューのように、実サイズのロボットを作るというのは、技術的にも予算的にもそう簡単にはできない。作れる場所も限られる。でも6分の1スケールなら、もっと気軽につくることができる。高校生でも参加することができるレベルだ*4。実際、今回の予選会にも2つの高校生チームが参加して、そのうちのひとつは最高の成績を上げている。

photo 大阪府立高専OBのチーム「OGR4」。このような学校OBのチームというのもあるのだ。かぶさった瓦礫をわずかに持ち上げて、ダミヤンの脇に腕を入れてロボット内に引きずりこむというスタイルを取る
photo こちらは大阪府立高専ろぼっと倶楽部の「ORC」。現役も現役、全員2年生という若いチームだ。α、β、γと名付けられた3つのロボットが、救助、瓦礫除去、情報収集の役割を果たす

 予選にエントリーしたのは20チームだったが、1チームは棄権したので、参加したのは19チーム。このうち12チームが8月に行われる本大会に進むことができる。とはいうものの、うち2チームは地元枠ですでに進出が決まっているので、のこりの10の枠を17チームで争うことになる。

photo 神戸市立高専のチーム「がんばろう神戸」。地元枠ではあるのだが、ダミヤンも2体救出し、成績でも問題なく決勝進出だ。これもダミヤンの脇に腕を入れて引きずりこむタイプ


*2でも、コンテストの認知度はまだちょっと低い。関西地区以外でも開催できればいいのだが


*3ダミアンではなくダミヤン。関西風に「ミ」にアクセントをおいて発音する


*4現行のルールでは複数人からなるチームでないと参加が難しい。これが個人でも参加できるようになると、ROBO-ONEなみに盛り上がれる可能性がある

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