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第2回「テレビ購入時に必要な3つの要素」薄型テレビの賢い選び方(2/2 ページ)

» 2006年09月13日 13時35分 公開
[ITmedia]
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32型以下なら液晶、37型以上ならフルHD液晶かプラズマ、50型以上ではプロジェクションタイプも候補に

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 パネルについても同様だが、ただし、こちらは内部技術うんぬん以前に、液晶か、プラズマか、あるいは本体内部で小型パネルと光源による投影を行うプロジェクションタイプのいずれにするかを、まず選ばなければならない。これに関しては、店頭に向かう前にある程度決めておく場合が多いだろう。

 大手家電メーカーのラインアップを確認しておこう。液晶で国内シェアのトップに位置するシャープは、その自信を表すかのごとく、パーソナルサイズの13型から65型という超大画面タイプまでを、液晶テレビ「AQUOS」のみでカバーしている。また、そのあとを追うソニー「BRAVIA」では液晶に加え、50/60型のSXRDプロジェクションテレビも揃える。東芝では将来的には、40〜50型超の大型画面タイプに、キヤノンと共同開発中のSEDを投入する計画だが、現時点では液晶テレビ(23〜47型)のみの「REGZA」を主に展開中だ。

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 ほかに、日立製作所「Wooo」では液晶とプラズマの両方、日本ビクター「EXE」は液晶とプロジェクション、三菱電機「REAL」は液晶のみ、パイオニア「PUREVISION」はプラズマのみという布陣になっている。船井電機をはじめとするコストパフォーマンスの高い製品をラインアップするサプライヤーについては、基本的には液晶が主体となるものの、バイ・デザインではプラズマやプロジェクションも提供していたりする。

 プロジェクションテレビはさておき、液晶かプラズマかという検討に関しては、プラズマにおけるトップシェアの座を築いた松下電器産業の「VIERA」販売戦略そのものが、参考になるだろう。すなわち、同社では明確な線引きをしており、32型以下は液晶テレビ、37型以上はプラズマテレビ“しか”販売していない。36型以下は液晶テレビしか選択肢がないというのは、他社製品でも同様である。

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 つまり、液晶か、プラズマかと悩むのは37〜50型の場合となるが、両者の性能比較に関しては、松下電器産業サイトの比較表や、弊社記事麻倉怜士氏の「デジタル閻魔帳」:「液晶」「プラズマ」どちらを選ぶ?を参考にしてほしい。あるいはもっと簡単にすませたいなら、フルHD(1920×1080)解像度にこだわるかどうかで決めるのも手だろう。なぜなら、現時点(9月13日の掲載時)ではフルHDを採用したプラズマテレビは50型以上の高級製品にしか存在しない(VIERAであればPZ600シリーズ、PUREVISIONであればPDP-5000EX)。フルHDだろうがどうだろうが、見た目で満足できればいいという人であれば(実際、個人的にもそう思う)、37型“プラズマVIERA”「TH-37PX60」の実勢価格17万〜20万円前後という価格も、非常に魅力的に映るに違いない。

チューナーはダブルデジタルがほしいが、いっそのこと「なし」でもいい?

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 さて、最後にチューナーとなるが、冒頭でデジタル放送では性能にはあまりこだわる必要はないと書いたが、実はここが本題となる。つまり、性能はともかく、構成は非常に重要であり、ユーザーによっては、使い勝手に大きく影響を及ぼすのだ。つまり、シングルか、ダブルか、ということである。「AQUOS」「VIERA」「REGZA」「Wooo」では、いずれもダブルデジタルチューナー搭載モデルを用意している。ただし、すべての製品ではなく、また地上デジタルのみダブルというケースもあるので注意してほしい。ソニー「BRAVIA」にもダブルデジタルチューナー搭載モデルは存在したが、最新ラインアップの「X2500」「V2500」「S2500」「A2500」では外部録画機器を接続するためのi.Linkが省略された影響もあってか、すべてデジタルチューナーはシングルタイプになっている。

 録画はいっさい行わず、気軽にデジタル放送を楽しみたい、あるいは、別にデジタル放送対応HDD/DVDレコーダーを所有しているなら、シングルチューナー搭載モデルで十分だろう。しかし、テレビ本体で録画まで管理したいという場合は、「録画中に裏番組が観られない」事態を避ける意味で、ダブルチューナーが必要となる。i.Link対応録画機器の利用に加え、最近ではテレビ本体に録画用ハードディスクを内蔵した製品もあり、スマートかつ使い勝手のいい録画対応オールインワンテレビ環境の構築が可能になっている。

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 さらに、低価格での“録画対応テレビ”環境構築を狙うなら、いっそのことバイ・デザインやサムスンといったサプライヤーの「デジタル放送チューナーなし」低価格テレビを購入し、そこへダブルチューナー搭載のデジタル放送対応HDD/DVDレコーダーを追加する手もある。これなら、たとえば32型液晶テレビで考えると、1Tバイト搭載レコーダーと組み合わせても、20万円以下で十分に収まるだろう。HDD/DVDレコーダーによるタイムシフト視聴が当たり前になった現在、テレビはできるだけシンプルなほうがいいという考え方で、シンプルテレビ+HDD/DVDレコーダーを徹底活用するというのも賢い選択肢の1つかもしれない。

 HDD内蔵テレビの場合なら、10月下旬発売予定の300Gバイト内蔵・ダブルデジタルチューナー搭載の32型液晶“REGZA”「32H1000」が店頭予想価格で30万円前後。同じく、250Gバイト内蔵・ダブルデジタルチューナー搭載の32型液晶“Wooo”「W32L-HR9000」も一般的な店頭価格は25万円前後となる(ただし、こちらはすでに発売中なので、20万円を大きく割る値札をつけている激安店もある)。

 いずれもスマートな録画対応テレビ環境を構築可能だが、どちらが得かは購入者の価値観にもよるだろう。また、デジタルチューナー非搭載テレビとデジタル放送対応HDD/DVDレコーダーを組み合わせる場合には、単に低価格なだけのテレビを選んでいいというわけではない。映像品質の面でも、使い勝手の面でも、HDMIによる接続が必須となるからだ。次回は、HDMIをはじめとする、テレビの入出力端子について紹介していく。

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