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“ケータイでプレゼンテーション!”にリアリティはあるか?!プロフェッサーJOEの「Gadget・ガジェット・がじぇっと」!(2/4 ページ)

» 2006年09月26日 12時06分 公開
[竹村譲,ITmedia]

 常に人が身につけていることが前提のケータイに託された最初の使命は、従来のモバイルPCの守備テリトリーの内、どのアプリケーションを取り込むかということも大きなポーションの1つだろう。

 WILLCOM社が先陣を切ったスマートフォン「W-ZERO3」や「W-ZERO3es」はその代表だ。「ケータイ電話もマイクロソフト!?」という側面だけを捉えれば、ユーザーやキャリア、ケータイメーカー、それぞれの立場によって、好む好まないは意見の分かれるところではあるが、「Windows Mobile OS」搭載のケータイ電話は、提供メーカーが違っても国内数千万人のPCユーザにとっては、日常の延長にある扱いやすい金太郎飴ケータイとなるのだ。

 この新世代のスマートフォンを眺めて、実際に使ってみて、何パーセントかのビジネスマンは、「このケータイでプレゼンテーションができないだろうか?」と思ったに違いない。筆者もその一人だった。

 実際、W-ZERO3esの発表会場でも同製品でプレゼンテーションが行われたようではあるが、日本の99.99パーセントのビジネスマンはその実際を見たことがないはずだ。その後、新製品であるW-ZERO3esを取り上げた多くのマスメディアも、「プレゼンテーションができるらしい」というイメージを伝えるモノは多くあっても、実際にやった、できたという記事やその詳細情報は皆無であった。

 それらは、理論上はできるとはいえ、実際にはそれほど状況ニーズがないから登場しないのか、設定や準備が面倒な故に登場しないのか、その理由は定かではない。筆者は、過去、ThinkPadの商品企画をやっているころから、個人が触れるクライアント商品は、当事者が自腹を切って買ってでも、本当に使いたいと思う便利なモノでなければ決して売れない、というおかしな商品哲学を勝手に信じている。今回も、それを実証すべく、自らのお金で購入して「ケータイでプレゼン!」にトライしてみた。

 筆者は、長くモバイルPCの商品企画をやっていたにも関わらず、ケータイが登場して、著名なブラウザーであるNetFrontの開発版を初めて見た頃から、「いつか、ケータイでプレゼンテーション!」というのが夢だった。世界中の会社の会議室には液晶プロジェクターが存在していても、なぜかそこに、そのプロジェクター専用のPCが設置、接続されていることは滅多にない。

 既にプロジェクターにSDカードリーダなどが付属した“Presentation Ready to Go”商品も出始めてはいるが、現在の熾烈な競争と、コスト面から考えても各社の標準機能となるには程遠いだろう。プレゼンテーターは、やむなくモバイルPCに入れて持ち歩く、というのが原則となった。

 当たり前だが、プロジェクターはみんなのモノ、PCは個人のモノという概念が自然と徹底しているからだろう。プレゼンテーションを行うビジネスマンは、ごく当たり前の様にモバイルPCを持ち歩くことに全く疑問を感じない。しかし、既にEメールはケータイだけでも十分な域に達し、「モバイルPCはもはやプレゼンテーションだけのために持ち歩いている」、という筆者と同じ悲しい結論に至っているのではないだろうか。さて、前置きが長くなったが、今回は、「ケータイでプレゼンテーション!」の実現可能度を実際に考えてみようと思う。

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