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スカパー!初のHDD内蔵STB「スカパー!DVR」を試すレビュー(4/5 ページ)

» 2006年09月27日 13時23分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

タイムシフトもサポート、少々不満が残る再生操作

 録画番組一覧(タイトルリスト)は録画予約一覧とほぼ同じ画面構成で、電子番組用からの録画予約、「シリーズ録画」、「おまかせ録画」で録画した番組がそれぞれ別のタブで表示される。

 フォルダ機能などは持たずシンプルだが、未視聴順といった並べ替えも可能で、視聴済み番組のみを消去する機能も備える。録って見て、消す、といった使い方であれば大きな不満なさそう。番組ごとのレジューム再生機能も備えており、再生開始時に選択が可能だ。

photo 録画番組はどの方法で録画したかで3つのタブに分類される。並べ替え機能も豊富に準備されており、大きな不満は感じない
photo 画面表示機能をONにすると、番組名や録画時間、再生位置を確認できる

 視聴中の番組に「ちょっと待った」が行なえるタイムシフト機能もサポートする。番組視聴中に「一時停止」ボタンを押すと映像が一時停止、同時にバックグランドで録画が開始され、以降は録画番組に準じて再生操作が可能になる。少なくとも本製品のユーザーにとっては、生放送のスポーツイベントなどを除いてリアルタイム視聴の機会は減ると思うが、HDDをきっちり活用しているといえる。

 再生時の操作性に関しては少々不満が残った。早戻し/早送り再生が最低速の場合には紙芝居状態で表示のスムーズさに欠け、操作に対するレスポンスもイマイチ。最高速にすると60倍速を超えているように感じるが、速度の調整は3段階と結構アバウトなのも気になる。

 CMスキップについては、「フラッシュ」ボタンで前後15秒をスキップできるが、CMを飛ばすにはボタンを押す回数が多すぎるし、ちょっと行き過ぎを戻すには15秒は長すぎる。専門チャンネルは地上波に比べるとCMの頻度は低いが、ANIMAXなどのようにほぼ地上波に準じたCMの挿入をするチャンネルもあるので、この辺はもう少し配慮して欲しかった。もちろん機能自体が無いよりはずっといいのだが。

SPモード相当での録画のみ、画質は及第点

 HDDレコーダーとして無視できないのが録画画質だ。既に触れているが、本製品には録画モードや録画画質調整といった概念が無く、「内蔵する160GバイトのHDDに約90時間分の録画が可能」とだけなっている。

 時間当たりの容量にすると約1.8Gバイト、ビットレート換算だと4Mbps弱、概ね一般のDVDレコーダーでいうSPモード程度という事になる。SPモード以上の録画モードはないのか、と思う人もいるだろうが、そもそもスカパー!の場合多くのチャンネルがSPモード程度の画質(ビットレート)で送信されているので、あまり高ビットレートで録画しても画質の向上は期待できない。

 ここでちょっと期待してしまうのは、ひょっとすると本製品の録画は、放送波をそのまま録画するストリーム録画なのではないだろうかという事だ。チャンネルによって異なるが、スカパー!の場合には3.8Mbps程度のMPEG2-TSで送信されている場合が多く、これは計算してみたビットレート換算にかなり近い。ユーザーの視点から見れば、放送と録画番組に画質差が無いというメリットが期待できる。

 そこで放送と、その放送を録画した番組でいくつかのシーンを静止画として同一環境でキャプチャしてみた。もしストリーム録画されているのであれば、デコードプロセスも共通だから放送と録画されたもので、画質差はないはずだ。

 結果はかなり微妙な感じで、動画としてみているといずれも画質に変化は感じられなかったが、静止画で比較するとやはりMPEGエンコードしたうえで保存されているかな、という印象。もちろん筆者の主観の限りだが、若干発色の傾向が異なっているように感じるし、再生時の方が若干の情報量の欠落も感じた。もっとも、並べて比較しないと判らないレベルなので、録画品質は決して悪くは無いと言えるだろう。

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