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スカパー!初のHDD内蔵STB「スカパー!DVR」を試すレビュー(5/5 ページ)

» 2006年09月27日 13時23分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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photophoto それぞれ放送時(左)と録画(右)のほぼ同じシーンをキャプチャしたもの。画像は、スカパー!/スカパー!110、ケーブルテレビで放送中のディスカバリーチャンネルより、「グローブトレッカー イングランドとウェールズ」(c)2006 Discovery Communications Inc. 0120-777362
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スカパー!ユーザーには福音、コストパフォーマンスも悪くない

 この時期になってスカパー!が録画機能付きSTBを供給するのは、同じく録画機能付きSTBを投入し始めたケーブルテレビへの対抗という意図が込められているだろう。

 録画環境については、過去に「スカパー!コクーン」が存在した事や、東芝RDシリーズのスカパー!連携機能があるだけスカパー!の方がいくらか良好だったが、今年に入って相次いで大手ケーブルテレビ業者が録画機能付きSTBを投入してきたからだ。スカパー!としては当然対抗せざる得ない。

 いや、これは筆者の想像の範疇であるが、いずれにせよ競争が存在するということはかくも素晴らしい事だ。

 本製品について欲を言えば、ケーブルテレビ向けの録画機能付きSTBでは実現している2番組同時録画もサポートして欲しかった。ただ、スカパー!の場合、一般的なアンテナは2つの衛星(旧「パーフェクTV!」系と旧「JSKYB」系)を切り替えて受信しているため、2チャンネル同時録画はSTB側の対応だけでは実現できない都合がある。

 2つの衛星から同時受信できるアンテナは従来から存在するし、本製品と同時にスカパー!からも「2ルームアンテナ」がリリースされたが、これの導入はコスト的にも手間的にもユーザーの負担が大きい。そう考えると、録画対応STBの最初のリリースとしては仕方が無かったのかな、とは思う。ケーブルテレビ向けの録画機能付きSTBに関しては、地上デジタル放送やBS/CSデジタル放送の録画にも利用する人も多いだろうから、スカパー!専用の本製品とは同列に比較できない側面もある。

 ただ、将来的には是非、2番組同時録画のSTBも投入して欲しい。スカパー!の場合はケーブルテレビのように、2台目以降のSTBの利用料金を格安にする事が難しいからだ。ケーブルTVは利用料金の安い2台目のSTBをどこへ持っていこうが、そこに配線が届いていなければ意味が無い。ところがスカパー!の場合は、利用料金を下げた2台目以降のSTBをまったく異なる場所に持っていってアンテナを立てれば利用できてしまう。これではおいそれと「2台目は値下げ」に踏み切れない。

 ならばスカパー!ならではの多チャンネル放送を満喫するためにも、レンタル金額は多少高額になってもいいので、1枚のICカードで2番組録画できるSTBを是非投入して欲しい、と思う人は多いのではないだろうか。本製品ではこのほかにも、DVDメディアなどへ手軽にダビングする手段が提供されていない点など(コピー禁止のコンテンツでなければAVケーブルで接続してのダビングは可能だ)不満がないこともない。

 しかし、とにかくスカパー!の録画が手軽に行えるという点に関しては手放しに評価できるし、専門チャンネルを多チャンネルで放送するスカパー!にマッチした自動録画機能を備える点などは、ライバル視されるケーブルTV向けの録画機能付STBにはない大きなアドバンテージだ。月額980円というレンタル料金もその利便性を考慮すれば納得が行くだろう。

 録画した番組はすべてDVDへ保存する場合には東芝RDシリーズの連携機能を利用したほうが便利かかもしれないが、多くのスカパー!ユーザーにとって魅力的な製品である事に間違いはない。また、現時点においてはハイビジョン画質よりもコンテンツの豊富さと録画後の自由度の方が重要という人にとっても、新たにスカパー!に加入するきっかけになる重要なキーと言えそうだ。

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