ナチュラル・サウンドという極上の響き――ヤマハHi-Fiオーディオスピーカー「Soavo-1」インタビュー(1/3 ページ)

ヤマハから“音楽を聴くため”の新スピーカー「Soavo-1」が登場した。奏でられる音は、あくまでもニュートラルで自然。音場の雰囲気を演出するのではなく、ありのままに描くスピーカーに仕上がっている。新スピーカー誕生の背景について、開発者に話を聞いた。

» 2006年10月02日 00時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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 なにやらヤマハが音楽を聴くための新しいスピーカーを開発している。AVよりもピュアオーディオを志向した、かつてのオーディオブーム全盛を思わせる力の入れ様らしい。

 そんな噂を耳にしたのは昨年も終わりの頃だ。当時、ヤマハは新型スピーカーのNS-525シリーズで、AV向けに価格やラインアップを構成しながらも、随所に音楽再生を意識した設計をしていた。

 迫力だけ、低域の量感だけ、金属的な質感表現をそれらしく表現するだけ、といったAVに特化した低価格スピーカーにありがちな表現からは、キッパリと決別する姿勢が、そこからは強く感じられた。だから、「そこからの急激な方向転換はないだろう。きっと噂のスピーカーは、NS-525シリーズの延長線上にある、ちょっと高級仕様のスピーカーなのだろう」と勝手に想像していたのだが、実際に現れた新スピーカーは「Soavo(ソアヴォ)」という新しいブランドが付けられた製品だった。

 まずはどんな音が出てくるのか。その体験は良い意味での”裏切り”。なるほど、そう来たか! と思わせる仕上がりなのである。

photophoto 新ブランド“Soavo(ソアヴォ)”第1弾、Hi-Fiオーディオ用スピーカーシステム「Soavo-1」。カラーはブラウンバーチ(左)とナチュラルバーチ(右)の2色。希望小売価格18万9000円(1台/税込み)

ニュートラルで自然。優しく、しかし刺激的でもありえる

 試聴の前に「Soavo」というブランド名から勝手に想像を膨らましていた筆者は、そのブランド名のソフトな響きや女性ヴォーカルの表現にこだわったというメッセージから、もっとソフトで耳当たりの良い、刺激感の少ない音を想像していた。

 ところが実際にSoavo-1から奏でられる音は、もっとリニアに音楽ソースの表情を描き出す。特に中域から中高域にかけての質の高さは、数クラス上の輸入ブランドスピーカーにも勝る魅力がある。アタックの立ち上がりが遅く、収束も緩やかなチューニングではなく、あくまでもニュートラル。音場の雰囲気を演出するのではなく、ありのままに描くスピーカーだ。

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 高域も同様に演出感はあまり感じられない。僅かに艶っぽさを感じさせるところもあるが、濃い色付けではない。歪みが少なく透明感、見通しの良さが魅力だ。歪み感が少ないため耳当たりは良いのだが、決してソフトではない。

 ユニット構成だけを聞いて懸念していたダブル使いの16センチウーファーも、節度の良さが好印象。しっかりと音楽の底を支える力感は備わっているから、スケール感を引き出す必要のあるフルオーケストラなどでも音場の雰囲気をきちんと表現できる。

 ニュートラルで自然。女性ヴォーカルが優しく美しく聴こえる。確かにその通りだ。しかし、刺激的な音に対しては、きちんとその刺激感を伝える。音の表情が見えてくるのである。それでいて音が前へと迫り出てくるわけではなく、スピーカーの距離に自然に定位し、そこから音場が奥へと展開して空間の広さを感じさせる。

 加えて位相管理の厳密さが、立体的な音場の形成へとつながっている。一部の音が視聴位置の真横にまで広がったり、頭の近くからスピーカーの奥への音の移動感を感じることもあった。Stingのセイクレッド・ラブに入っている2曲目など、録音側で位相を操作して音場を作っているものであれば、なおさらハッキリとその効果が確認できるのだ。

 いや、これはなかなかの実力ではないか。昨今、ピュアオーディオ系輸入ブランドのトールボーイが軒並み価格を上げていることを考えれば、1本20万円を切る価格設定は十分に納得のいく、いや国産ブランドならではの買い得感だ。

 つい、製品のレビューと相成ってしまったが、この記事の主役はSoavo-1の生みの親、音質チューニングを行ったヤマハ AV機器事業部 商品開発部 ハードウェア開発グループの岡崎浩二氏である。

 新スピーカー誕生の背景について、率直な質問を岡崎氏にぶつけてみた。

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提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年11月1日