コラム
» 2006年10月30日 13時47分 UPDATE

小寺信良:写真+GPSがもたらす世界 (1/3)

デジカメで撮った写真をどう整理するか、というのは悩ましい問題だ。現在主流なのはカレンダー型だが、筆者は位置情報で写真を整理するGPSとの融合を考えてみた。

[小寺信良,ITmedia]

 デジカメの写真管理・検索術というのは、真剣に検討しなければならない時期にさしかかりながらも、未だ総合的な方法論が見つからないものの1つだろう。現在主流となっているのは「カレンダー型」で、撮影した日付のデータを元に管理する、という方法である。これは自分の記憶の時間軸とつながるという点で、検索性を高めている。

 ただ、カレンダー上に写真を表示するという方法は、あくまでもアプリケーション上で実現されているに過ぎず、フィジカルな画像ファイルの置き場所は、パソコンに取り込んだ日付のフォルダに格納されるというものも多い。この方法の難点は、そのアプリケーションを離れてファイルブラウザベースになってしまうと、まったく検索不能になってしまうことである。

 写真にとって、「パソコンに取り込んだ日付」には何の意味もない。撮影してその日のうちにマメに取り込む人なら多少は意味を持つが、そうでない人にとってはたまたまヒマだった日、というだけにしか過ぎないからである。WindowsXPの写真取り込みウィザードはまさにこの「取り込んだ日付」スタイルだが、Windows Vistaでは改善されているのだろうか。

 多くのアプリケーションでカレンダー表示が実現できているのは、デジカメで撮影した写真に日付や時間のメタデータが埋め込んであるからだ。デジカメ的にはExifと言った方がわかりやすいだろうか。逆に言うならば、カメラメーカー各社が初期の段階で、まだ利用価値は未知数ながらもこのExifを採用したことが、今日のカレンダー表示型管理の趨勢を生み出したとも言えるだろう。

 ではそこに別のデータを埋め込んだら、別の管理・検索ができるのではないか。その可能性の1つが、GPSを使った位置情報の埋め込みである。

廉価なGPSユニットの登場

 ソニーから発売されているGPSユニット「GPS-CS1K」は、そういうことを実現できるもっとも手軽な機材である。箱にはCyber-Shotのロゴが入っているが、ソニー以外のデジカメでも使用可能だ。モノとしては非常にシンプルで、ディスプレイも何もない小型のユニットと樹脂製カラビナ、USBケーブル、付属CD-ROMという構成である。

jn_P1070763.jpg ソニー製GPSユニット「GPS-CS1K」
jn_P1070765.jpg ディスプレイはなく、バッテリとメモリの状態を示すLEDがあるのみ

 カーナビならともかく、単体のGPSユニットというのはそれほど需要があるものではない。山登りとか海釣りとか、アウトドアが好きな人が趣味で買い求めるというような物である。したがって本体で位置表示ができる市販品では3万円とか、高いものでは20万円とか、想像以上に値が張るものだ。だがGPS-CS1Kは、極力機能をシンプルにして、希望小売価格1万5540円に押さえた、現在もっともリーズナブルな選択肢の一つである。

 使い方は簡単、というか、ほとんど使うも何もないという感じである。単三電池を入れて電源を入れるだけで、すぐ測定が始まり、本体内のメモリに位置情報がログとして記録されてゆく。動作時間はニッケル水素充電池で約14時間、ログデータは本体に360時間ぶん記録できる。一日12時間使うとすれば、1カ月は本体にためておけることになる。

 GPSユニットというのは、専門メーカーが製造している例が多いわけだが、ソニーにはどういうわけかGPS萌えの人達がいるようで、かなり早くから製品化が行なわれている。もっとも早いものは、99年発売のバイオ「PCG-C2GPS」に付属のGPSユニットだろう。C2は短命だったためあまり一般的にはその存在が知られていないが、バイオの小型モデルとして知られたC1の兄弟機である。

 続いて2000年には、バイオ用周辺機器としてハンディGPS「PCQA-GPS3VG」が単体発売されている。これは筆者も購入して、簡易カーナビとしてずいぶん使ったものだ。

jn_P1070772.jpg 筆者所有のハンディGPS。専用ソフトと組み合わせてパソコンをカーナビ化できる

 ただこの頃のGPSソリューションは、カーナビとして利用できるほか、地図上にルートが残せるといった機能がある程度であった。当時から写真と組み合わせるというソリューション自体は存在したものの、そのためには結構高い別売のソフトウェアが必要であったため、普及には至らなかった。

 2002年のNABでは、プロ用カムコーダHDCAM「HDW-730」にGPSユニットを取り付け、撮影時の位置情報をテープに記録するというソリューションを発表した。まさにメタデータの走りだが、これも上手い活用方法が見つからず、GPSユニットのほうは最終的に製品化に至ったのかは不明である。

 不遇の運命を辿ったソニーのGPS製品群だが、これはソニーによくある「早すぎた提案」であろう。だが今回のGPS-CS1Kは、何かの専用オプション品ではなく、デジカメ写真まで含めた汎用性の高さがキーになっている。

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.